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第13章 懐かしい旅路
第3話 あれからの開拓村
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村の奥から走ってくる彼女は、ミーシャとお揃いの服を着ていた。彼女は走った勢いのまま俺に抱きついてきた。
「お兄ちゃんお帰り。グスッ」
「ただいまメイ」
ケモミミをピクピクさせながら、俺の胸に顔を押し付けてきたのはメイである。サーシャさんの娘で、この世界で最初の妹ともいえる存在である。
メイに会うのは三年振りで、今もモフっている艶々の尻尾も大きくなっていた。メイは五歳だったから、今は八歳のはずだ。
忘れずにいてくれたことも嬉しいが、「お兄ちゃん」とまだ呼んでくれたことが凄く嬉しかった。
「メイにはたくさんのお土産があるからね!」
ケモミミを撫でながら話した。メイは顔を上げて嬉しそうに尋ねる。
「お兄ちゃん、本当!」
くぅ~、可愛すぎる!
キラキラした目でメイに言われると、なんでもプレゼントしたくなる。
「色々あるよぉ。服やここでは食べられないような料理もあるよ!」
「それは私の分もあるのかしら?」
「お姉ちゃん!」
いつの間にかサーシャさんも来ていたようだ。ミーシャはサーシャさんに抱き着いていた。
サーシャさんは色気が増しただけでなく、貫禄もついた気がする。服装も前より洗練されていた。
「も、もちろんサーシャさんの分もありますよぉ」
食べ物は大丈夫だが、服はサーシャさん用には用意していない。新しいデザインの服を作る度にメイの分も作っていたが、さすがにサーシャさんの分は作っていない。
頭の中で何かないか並列思考を使いながら必死で考えながら答えた。
後でアンナに用意してもらおう!
「ふふふっ、テンマ君のことは信じているわ。子供ができたのなら、本当の家族だからヨロシクね!」
サーシャさんと家族になるのは危険な気がするぅ!
「こ、子供のことは間違いですよ!」
まずはその誤解を解いておかないと、問題が大きくなりそうだ。
サーシャさんは一緒にいるエアルを見てすぐに気付いたようだ。
「そうみたいね。いくら何でも三年でこんな大きな子供はできないわよねぇ」
サーシャさんの反応にホッとする。他の村人たちも気付いたようで少し残念そうな顔をしている。
「俺の孫はどこだぁーーー!」
すでにこの場では誤解が解けていたが、遅れてミーシャの父親が走ってきた。
ミーシャの父親はすぐにエアルに気付いて一直線にエアルに向かっていく。
「なんと愛らしい!」
ゴンッ!
えっ、障壁!?
「不用意に近づくのではないのじゃ!」
ミーシャの父親はエアルに抱きつこうとしたが、あと少しというところで結界に阻まれてしまった。頭から鈍い音がして父親は倒れてしまった。
おうふ、気を失ったようだ!
ミーシャは父親のことを気にした様子もなく、驚いているサーシャに説明する。
「エアルちゃんは可愛いけど凄い人。伝説の英雄エクス様の娘!」
ミーシャの説明でサーシャさんも村人も混乱している。
まあ、エアルのあの見た目で、伝説の英雄の娘だと言われても混乱するよね。
「そ、そうなの……。細かい話は家で話しましょう!」
さすがサーシャさん、すぐに持ち直して家に行こうと提案してきた。
ミーシャも同意して、遅れて合流した母親と楽しそうに話しながらミーシャ家に向かい始める。
俺は気絶して倒れるミーシャの父親が気になったが、ミーシャの兄が介抱を始めたので、軽く会釈してからミーシャ達を追いかけるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ミーシャはサーシャさんと楽しそうに話しながら歩いている。メイはシルに抱きついたりモフったりしながらエアルと仲良く話をしているみたいだ。
メイはエアルを同年代の友達だと思っているみたいだなぁ……。
そんなことを考えながら歩いていると、前から懐かしい人が歩いてきた。
「村長、お久しぶりです! 少しの間、村に滞在させてもらいます」
声をかけたのは、ホロホロ鳥村長だ。村に滞在するのだから挨拶する。
「おおっ、テンマ君ではないか。元気なようで何よりじゃ! それより儂はもう村長じゃないぞ。もう数年前から村長はサーシャがしておる。聞いてないのか?」
なんですとぉ、ついにサーシャさんが裏も表も仕切り始めているのかぁ!
「そのことも含めて、ゆっくりと話そうと家に向かっているところよ」
サーシャさんが村長に笑顔で答えた。村長は笑顔で頷くと俺に話しかけてきた。
「テンマ君、村にいる間に儂にもホロホロ鳥を食べさせてもらいたいのぉ~。老い先短い老人の頼みと思って頼むぞ!」
いやいや、村長をやめて前より元気そうだよ!
村長は顔色もよく、前より元気そうだ。
サーシャさん達が歩き始めたので、村長に頭を下げて追いかける。
歩き始めて気が付く、以前のサーシャ家の場所はすでに通り過ぎていた。それでもサーシャさんは村の奥に進んで行く。そして一番奥ともいえる場所に着くと言った。
「ここが新しいお家よ。テンマ君達が泊る部屋も用意するわ」
サーシャさんがそう言って教えてくれた家は、前村長の家よりも何倍も大きく、家というより屋敷だった。
サーシャさん、何か悪いことしていない?
俺はサーシャさんが悪いことをしていないのか心配になったのである。
◇ ◇ ◇ ◇
サーシャ屋敷の応接室で、見たことのない若い女性がお茶を用意してくれた。さすがにメイド服は着ていないが、使用人なのかお茶の準備を終えると部屋を出ていった。
「ロンダから職人を呼んでこの家を建てたのよ。完成したのは一年前くらいかしら」
造りもしっかりしており、村人の協力で建てる家とは別物である。
ミーシャは嬉しそうに家の中を眺め、メイはエアルと一緒にシルをモフっている。
それからサーシャさんは俺達が村を出てからのことを話してくれた。
サーシャさんが中心となり村の女性とハーブ販売が上手くいったようだ。すぐに村でハーブ類の栽培を始めて開拓村の生活は安定したようだ。
それにロンダの町も発展して、近くにダンジョンができたことも村の景気をさらに良くしたらしい。
最初は景気が良くなっただけだったが、ダンジョンの影響で開拓村にも冒険者も訪れるようになり、問題を起こすようになった。そんな冒険者達をランガやジート、ズラタンが力でねじ伏せてたようだ。すぐにランガ達は冒険者の間で有名になり、家族持ちの冒険者が村に移住するようになった。
移住した冒険者達をランガ達が面倒を見て鍛え、一緒にダンジョンに行くようになった。サーシャさんは冒険者の家族の面倒を見て実質的な村長になった。そんな状況もあり前村長がサーシャを村長に指名して、名実ともにサーシャさんが村長になったのだ。
ランガは冒険者達のリーダーになり、彼らとダンジョンにも行くようになると、稼ぎの良い冒険者軍団となったのである。
まさかランガが冒険者のリーダー……。調子に乗ってそうだなぁ。
稼ぎの良い冒険者が開拓村に住み、ダンジョンやロンダとは三日に一度は馬車が往復するようになったようだ。
このサーシャ屋敷もランガの稼ぎで建てたようで、先ほどの女性はランガ達と活動する冒険者の家族らしい。
冒険者達は交代でダンジョン探索と開拓村の門番など村の警備も担っているらしい。
だから門番の男の人はサーシャさんを畏れているような雰囲気だったのだろう。冒険者のリーダーであるランガの妻で、ランガが絶対に逆らえない存在だから恐れられているのだろう。
あれっ、そういえばランガを見ていない!
「ランガはどこに?」
「今はダンジョンに行っているわ。明日にはジートとズラタンと一緒に戻ってくるはずよ!」
ちょうどランガ達がダンジョンに行っているタイミングで俺達が来たようだ。
「ランガ達は強くなった?」
ミーシャが尋ねた。
「ふふふっ、強くなったわよぉ。先月にはジート達と一緒にB級冒険者になったわ」
おおっ、本当に頑張っているようだ。
「それなら一緒に訓練する!」
ミーシャちゃんや、彼らの自信がなくなりそうだから手加減しろよ!
ミーシャはA級冒険者だし、先輩でもあるジュビロ達より強くなっているのだ。本気を出したら可哀想だ。
まあ、ピピにやられるよりはましだと思うけど……。
「お兄ちゃんお帰り。グスッ」
「ただいまメイ」
ケモミミをピクピクさせながら、俺の胸に顔を押し付けてきたのはメイである。サーシャさんの娘で、この世界で最初の妹ともいえる存在である。
メイに会うのは三年振りで、今もモフっている艶々の尻尾も大きくなっていた。メイは五歳だったから、今は八歳のはずだ。
忘れずにいてくれたことも嬉しいが、「お兄ちゃん」とまだ呼んでくれたことが凄く嬉しかった。
「メイにはたくさんのお土産があるからね!」
ケモミミを撫でながら話した。メイは顔を上げて嬉しそうに尋ねる。
「お兄ちゃん、本当!」
くぅ~、可愛すぎる!
キラキラした目でメイに言われると、なんでもプレゼントしたくなる。
「色々あるよぉ。服やここでは食べられないような料理もあるよ!」
「それは私の分もあるのかしら?」
「お姉ちゃん!」
いつの間にかサーシャさんも来ていたようだ。ミーシャはサーシャさんに抱き着いていた。
サーシャさんは色気が増しただけでなく、貫禄もついた気がする。服装も前より洗練されていた。
「も、もちろんサーシャさんの分もありますよぉ」
食べ物は大丈夫だが、服はサーシャさん用には用意していない。新しいデザインの服を作る度にメイの分も作っていたが、さすがにサーシャさんの分は作っていない。
頭の中で何かないか並列思考を使いながら必死で考えながら答えた。
後でアンナに用意してもらおう!
「ふふふっ、テンマ君のことは信じているわ。子供ができたのなら、本当の家族だからヨロシクね!」
サーシャさんと家族になるのは危険な気がするぅ!
「こ、子供のことは間違いですよ!」
まずはその誤解を解いておかないと、問題が大きくなりそうだ。
サーシャさんは一緒にいるエアルを見てすぐに気付いたようだ。
「そうみたいね。いくら何でも三年でこんな大きな子供はできないわよねぇ」
サーシャさんの反応にホッとする。他の村人たちも気付いたようで少し残念そうな顔をしている。
「俺の孫はどこだぁーーー!」
すでにこの場では誤解が解けていたが、遅れてミーシャの父親が走ってきた。
ミーシャの父親はすぐにエアルに気付いて一直線にエアルに向かっていく。
「なんと愛らしい!」
ゴンッ!
えっ、障壁!?
「不用意に近づくのではないのじゃ!」
ミーシャの父親はエアルに抱きつこうとしたが、あと少しというところで結界に阻まれてしまった。頭から鈍い音がして父親は倒れてしまった。
おうふ、気を失ったようだ!
ミーシャは父親のことを気にした様子もなく、驚いているサーシャに説明する。
「エアルちゃんは可愛いけど凄い人。伝説の英雄エクス様の娘!」
ミーシャの説明でサーシャさんも村人も混乱している。
まあ、エアルのあの見た目で、伝説の英雄の娘だと言われても混乱するよね。
「そ、そうなの……。細かい話は家で話しましょう!」
さすがサーシャさん、すぐに持ち直して家に行こうと提案してきた。
ミーシャも同意して、遅れて合流した母親と楽しそうに話しながらミーシャ家に向かい始める。
俺は気絶して倒れるミーシャの父親が気になったが、ミーシャの兄が介抱を始めたので、軽く会釈してからミーシャ達を追いかけるのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ミーシャはサーシャさんと楽しそうに話しながら歩いている。メイはシルに抱きついたりモフったりしながらエアルと仲良く話をしているみたいだ。
メイはエアルを同年代の友達だと思っているみたいだなぁ……。
そんなことを考えながら歩いていると、前から懐かしい人が歩いてきた。
「村長、お久しぶりです! 少しの間、村に滞在させてもらいます」
声をかけたのは、ホロホロ鳥村長だ。村に滞在するのだから挨拶する。
「おおっ、テンマ君ではないか。元気なようで何よりじゃ! それより儂はもう村長じゃないぞ。もう数年前から村長はサーシャがしておる。聞いてないのか?」
なんですとぉ、ついにサーシャさんが裏も表も仕切り始めているのかぁ!
「そのことも含めて、ゆっくりと話そうと家に向かっているところよ」
サーシャさんが村長に笑顔で答えた。村長は笑顔で頷くと俺に話しかけてきた。
「テンマ君、村にいる間に儂にもホロホロ鳥を食べさせてもらいたいのぉ~。老い先短い老人の頼みと思って頼むぞ!」
いやいや、村長をやめて前より元気そうだよ!
村長は顔色もよく、前より元気そうだ。
サーシャさん達が歩き始めたので、村長に頭を下げて追いかける。
歩き始めて気が付く、以前のサーシャ家の場所はすでに通り過ぎていた。それでもサーシャさんは村の奥に進んで行く。そして一番奥ともいえる場所に着くと言った。
「ここが新しいお家よ。テンマ君達が泊る部屋も用意するわ」
サーシャさんがそう言って教えてくれた家は、前村長の家よりも何倍も大きく、家というより屋敷だった。
サーシャさん、何か悪いことしていない?
俺はサーシャさんが悪いことをしていないのか心配になったのである。
◇ ◇ ◇ ◇
サーシャ屋敷の応接室で、見たことのない若い女性がお茶を用意してくれた。さすがにメイド服は着ていないが、使用人なのかお茶の準備を終えると部屋を出ていった。
「ロンダから職人を呼んでこの家を建てたのよ。完成したのは一年前くらいかしら」
造りもしっかりしており、村人の協力で建てる家とは別物である。
ミーシャは嬉しそうに家の中を眺め、メイはエアルと一緒にシルをモフっている。
それからサーシャさんは俺達が村を出てからのことを話してくれた。
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まさかランガが冒険者のリーダー……。調子に乗ってそうだなぁ。
稼ぎの良い冒険者が開拓村に住み、ダンジョンやロンダとは三日に一度は馬車が往復するようになったようだ。
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だから門番の男の人はサーシャさんを畏れているような雰囲気だったのだろう。冒険者のリーダーであるランガの妻で、ランガが絶対に逆らえない存在だから恐れられているのだろう。
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「今はダンジョンに行っているわ。明日にはジートとズラタンと一緒に戻ってくるはずよ!」
ちょうどランガ達がダンジョンに行っているタイミングで俺達が来たようだ。
「ランガ達は強くなった?」
ミーシャが尋ねた。
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おおっ、本当に頑張っているようだ。
「それなら一緒に訓練する!」
ミーシャちゃんや、彼らの自信がなくなりそうだから手加減しろよ!
ミーシャはA級冒険者だし、先輩でもあるジュビロ達より強くなっているのだ。本気を出したら可哀想だ。
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