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第12章 マムーチョ辺境侯爵領
第10話 祭りには浴衣でしょ!
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日が暮れる前にバッサンの街に到着した。街には俺達専用の拠点となる屋敷が造ってあり、そこに降り立つと屋敷の中に入り、すぐにD研を開いた。
念話でみんなを呼び出すとD研から出て、屋敷のそれぞれ部屋に向かっていった。バルドーさんだけは隣に建てられたバルドー専用屋敷に向かった。マリアとリディアは先にこの拠点に来て、すでに部屋で待っているはずである。
みんな祭りを楽しみにしているのか笑顔で部屋に行き、着替えをする予定だ。
ジュビロとタクトが彼女《ようじょ》と手を繋いで出てくる姿は、年の離れた妹というより娘を連れた若い父親と言っても不思議に思わないだろう。
俺は絶対にエアル3姉妹に手を出すことはしない!
変な決意を固めてみんなが着替えてくるのをリビングで待つ。
変身《トラジション》で着替えられるはずだが、それは言ったら女性陣に準備するのは着替えだけではないと叱られてしまった。俺は特にすることもないので、変身《トラジション》で着替えた。
暫く待っていると最初に準備が終わったのはアンナとリディア、それにハル衛門も一緒であった。着替え終わったのかリビングに最初に戻ってきた。
俺が祭り用に用意したのは浴衣を参考にした服である。
アンナとリディアが浴衣風の服を着るだけで、清楚なのにどこか色っぽく感じるのはなぜだろう。不思議である……。
そして改めて変身《トラジション》だけではないと気付く。
髪型が普段とは違いアップにしたり編み込んだりと手の込んだ髪型になっている。それに俺の知らない装飾品も付けていた。家族の印であるチョーカーは知っているが、ピアスかイヤリングのようなものを付けて、まるですべてがコーディネイトされているように感じるほどだ。
「テンマ様、どうでしょうか?」
アンナが尋ねてきた。
「ああ、二人とも似合っているよ!」
眷属と従魔だからなのか二人には普通に感想を言える。アンナだけでなくリディアも嬉しそうに笑顔を見せた。
『ちょっとぉ~、私はどうなのよぉ?』
うん、オチ担当として素晴らしい!
ミニオークに浴衣を着せたようなハル衛門を見てそう思った。
「ああ、色々な意味で似合っているよ!」
『そぉお、テンマも分かっているじゃない!』
ちょろいハル衛門で助かる。
「テンマ、私はどうじゃ!」
「「「どう? どう?」」」
いつの間にかドロテアさんとエアル三姉妹がリビングに来ていた。エアル三姉妹は間違いなく初めて着る浴衣に喜ぶ幼女という感じだ。可愛いのは間違いないが微笑ましいという感じだ。
俺は纏わり付くエアル三姉妹の頭を撫でながら褒める。
「三人共可愛らしくて似合っているよ。ドロテアさんは、……綺麗でカッコイイ感じかな」
エアル三姉妹は耳を真っ赤にしてお互いに競うように撫でられようとしていた。
ドロテアさんは、……夜に冷え込むことも考えて羽織を用意したのだがそれを着て腕を組んでいる。髪型もしっかりとアップにしてうなじを見せ、それなのにウサ耳も付けていた。
例えるならウサギ獣人でありながら高貴な貫禄があって、色っぽく危険な感じのする極道の姉さんだろうか……。
ま、まあ、ドロテアさんは普通に褒められたと思ったのか、拳を握りしめて喜んでいるから大丈夫だろう。
「あら、ドロテアお姉さん、お似合いですわね」
今度はマリアさん一家の登場である。
すぐに目に飛び込んできたのは、やはり優勝杯であった。俺が作った服は優勝杯がきちんと収納できるようにしてあったはずだ。しかし、胸元を強調して大きくはだけて優勝杯の谷間がハッキリと見えていた。俺はしっかりと目に焼き付けようと凝視する。
男の俺としては感謝の気持ちでいっぱいです!
アンナがジト目で俺を見ているのに気付いて、慌ててミイに視線を向ける。ミイは年齢より幼く見えるがアンナさんに面影にているので可愛らしく浴衣が似合っていた。
胸は似てこないねぇ……。
ミイのことを少し気の毒だと思いながらバルガスに視線を移す。
うん、武闘派組織の組長だね……。
マリアさんよりドロテアさんと並んだほうがしっくりくる雰囲気だった。
リリアも一緒に来ていたが、普段の少し粗野な感じが無くなり、貴族の令嬢のよう見える。
「みんなすごく似合っていて、よかったよ!」
「ミイ、今日はこれでいい男を見つけるぞ!」
リリアは話さなければすぐにも男が見つかると思う。
ジュビロとタクトもリビングにきたが、益々父親と娘感が強くなった気がするぅ。
二人の彼女はエアル三姉妹と一緒になって騒ぎ始めた。見た目はイクメンパパと子供たちの構図だ……。
そこにシルが俺に走り寄ってきた。
俺はシルをモフろうとしたが、浴衣が邪魔でモフれなかった。俺はシルに浴衣は必要ないと言った。しかし、シル本人や周りから文句を言われて仕方なく用意したのだ。
褒めてほしそうにキラキラ目を輝かして尻尾をブンブン振るシルを見て言った。
「シルもお似合いだねぇ~!」
『うん、僕もそう思う!』
かわいいシルを落胆などさせられるかぁ!
本音とは違うことを話す、少し大人になった俺であった。
「グヘェ!」
ピピが信じられないスピードで抱きついてきた。油断して痛くはないが、声が漏れてしまった。
「どうお兄ちゃん! 似合ってる?」
シル以上に目をキラキラさせてくる永遠の妹ピピが聞いてきた。
「おう、凄く似合っているぞ! リボンもピピの可愛さを引き立てていて、可愛さが百倍だぁ!」
ピピは褒めるとウサ耳をピンと伸ばしまた抱きついてきた。
うん、お兄ちゃんは嬉しいよ!
「んっ、どう?」
ピピを抱きしめていると、影のように目の前にミーシャが現れ、少し照れたように聞いてきた。
「おっ、凄く似合っているじゃないか!」
褒めるとミーシャはケモミミをピンと伸ばしながらも顔を赤くして俯いた。口元が喜ぶのを我慢しようとしているのかピクピクしているが、ケモシッポはハッキリと喜びを表していて、シルと同じようにブンブンと振っている。
あのミーシャが清楚に見えるのが浴衣マジックであろう!
だが、動きにくいはずの浴衣姿で気配を消して一瞬で近付くのはやめてほしい。
「あっ!」
ミーシャから目線を少し上げたら、その先にジジがいて思わず声を出してしまった。
間違いなくミス浴衣はジジに決定だ!
ジジの浴衣姿は内面から溢れる清楚さと奥ゆかしさを感じる。
他の連中はギャップ萌えのような要素があった。しかし、ジジは違うのだ。まるで浴衣を着るにふさしい内面と可愛らしさが同居していた!
「か、かわいい……」
無意識に口から出ていた。
ジジが俺の感想を聞いて顔を赤らめているのを見て、自分でも何を言ったのか気付いた。
「あっ、いや、そのぉ……、本当に似合っていて可愛いなぁと……」
必死に言い訳のようなことを言ったが、頬が凄く熱くなっている。
「どうじゃ、祭りに行かずに子作りでも、ギャァーーーーー!」
横からおせっかい婆さんのドロテアさんが話しかけてきた。思わず頭痛(大)をお見舞いしてしまった。
「それじゃあ、そろそろ街に繰り出そうか!」
「「「はい(おう)!」」」
転げまわるドロテアさんを無視して街中に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
拠点となっている屋敷を出ると、目の前には予想外の光景が広がっていた。
ここはホスト浴衣祭りの会場かぁーーー!
目の前には約三十人のイケメンが浴衣姿で揃っていた。
「テンマ様、私の知り合いも一緒に祭りに行かせてください」
バルドーさんはまたまた若返った浴衣姿で話してきた。よく見ると知っている黒耳長族が多くいて、さらには人族や獣人族も揃っている。
んっ、どうやって来たんだ?
何人かは数日前にエクス群島のほうで見たことがある。俺の作った魔導船を最速で走らせたとしても五日はかかるはずだ。D研の中にはバルドーさんしかいなかったはずだけど……。
「バルドー様に頼まれて、私が彼らをルームに入れて連れてきました」
アンナァーーー!
いや、別に構わないけど……、せめて事前に教えてよぉ~!
バルドーメンズ隊も一緒に祭りに行くことになったのである。
念話でみんなを呼び出すとD研から出て、屋敷のそれぞれ部屋に向かっていった。バルドーさんだけは隣に建てられたバルドー専用屋敷に向かった。マリアとリディアは先にこの拠点に来て、すでに部屋で待っているはずである。
みんな祭りを楽しみにしているのか笑顔で部屋に行き、着替えをする予定だ。
ジュビロとタクトが彼女《ようじょ》と手を繋いで出てくる姿は、年の離れた妹というより娘を連れた若い父親と言っても不思議に思わないだろう。
俺は絶対にエアル3姉妹に手を出すことはしない!
変な決意を固めてみんなが着替えてくるのをリビングで待つ。
変身《トラジション》で着替えられるはずだが、それは言ったら女性陣に準備するのは着替えだけではないと叱られてしまった。俺は特にすることもないので、変身《トラジション》で着替えた。
暫く待っていると最初に準備が終わったのはアンナとリディア、それにハル衛門も一緒であった。着替え終わったのかリビングに最初に戻ってきた。
俺が祭り用に用意したのは浴衣を参考にした服である。
アンナとリディアが浴衣風の服を着るだけで、清楚なのにどこか色っぽく感じるのはなぜだろう。不思議である……。
そして改めて変身《トラジション》だけではないと気付く。
髪型が普段とは違いアップにしたり編み込んだりと手の込んだ髪型になっている。それに俺の知らない装飾品も付けていた。家族の印であるチョーカーは知っているが、ピアスかイヤリングのようなものを付けて、まるですべてがコーディネイトされているように感じるほどだ。
「テンマ様、どうでしょうか?」
アンナが尋ねてきた。
「ああ、二人とも似合っているよ!」
眷属と従魔だからなのか二人には普通に感想を言える。アンナだけでなくリディアも嬉しそうに笑顔を見せた。
『ちょっとぉ~、私はどうなのよぉ?』
うん、オチ担当として素晴らしい!
ミニオークに浴衣を着せたようなハル衛門を見てそう思った。
「ああ、色々な意味で似合っているよ!」
『そぉお、テンマも分かっているじゃない!』
ちょろいハル衛門で助かる。
「テンマ、私はどうじゃ!」
「「「どう? どう?」」」
いつの間にかドロテアさんとエアル三姉妹がリビングに来ていた。エアル三姉妹は間違いなく初めて着る浴衣に喜ぶ幼女という感じだ。可愛いのは間違いないが微笑ましいという感じだ。
俺は纏わり付くエアル三姉妹の頭を撫でながら褒める。
「三人共可愛らしくて似合っているよ。ドロテアさんは、……綺麗でカッコイイ感じかな」
エアル三姉妹は耳を真っ赤にしてお互いに競うように撫でられようとしていた。
ドロテアさんは、……夜に冷え込むことも考えて羽織を用意したのだがそれを着て腕を組んでいる。髪型もしっかりとアップにしてうなじを見せ、それなのにウサ耳も付けていた。
例えるならウサギ獣人でありながら高貴な貫禄があって、色っぽく危険な感じのする極道の姉さんだろうか……。
ま、まあ、ドロテアさんは普通に褒められたと思ったのか、拳を握りしめて喜んでいるから大丈夫だろう。
「あら、ドロテアお姉さん、お似合いですわね」
今度はマリアさん一家の登場である。
すぐに目に飛び込んできたのは、やはり優勝杯であった。俺が作った服は優勝杯がきちんと収納できるようにしてあったはずだ。しかし、胸元を強調して大きくはだけて優勝杯の谷間がハッキリと見えていた。俺はしっかりと目に焼き付けようと凝視する。
男の俺としては感謝の気持ちでいっぱいです!
アンナがジト目で俺を見ているのに気付いて、慌ててミイに視線を向ける。ミイは年齢より幼く見えるがアンナさんに面影にているので可愛らしく浴衣が似合っていた。
胸は似てこないねぇ……。
ミイのことを少し気の毒だと思いながらバルガスに視線を移す。
うん、武闘派組織の組長だね……。
マリアさんよりドロテアさんと並んだほうがしっくりくる雰囲気だった。
リリアも一緒に来ていたが、普段の少し粗野な感じが無くなり、貴族の令嬢のよう見える。
「みんなすごく似合っていて、よかったよ!」
「ミイ、今日はこれでいい男を見つけるぞ!」
リリアは話さなければすぐにも男が見つかると思う。
ジュビロとタクトもリビングにきたが、益々父親と娘感が強くなった気がするぅ。
二人の彼女はエアル三姉妹と一緒になって騒ぎ始めた。見た目はイクメンパパと子供たちの構図だ……。
そこにシルが俺に走り寄ってきた。
俺はシルをモフろうとしたが、浴衣が邪魔でモフれなかった。俺はシルに浴衣は必要ないと言った。しかし、シル本人や周りから文句を言われて仕方なく用意したのだ。
褒めてほしそうにキラキラ目を輝かして尻尾をブンブン振るシルを見て言った。
「シルもお似合いだねぇ~!」
『うん、僕もそう思う!』
かわいいシルを落胆などさせられるかぁ!
本音とは違うことを話す、少し大人になった俺であった。
「グヘェ!」
ピピが信じられないスピードで抱きついてきた。油断して痛くはないが、声が漏れてしまった。
「どうお兄ちゃん! 似合ってる?」
シル以上に目をキラキラさせてくる永遠の妹ピピが聞いてきた。
「おう、凄く似合っているぞ! リボンもピピの可愛さを引き立てていて、可愛さが百倍だぁ!」
ピピは褒めるとウサ耳をピンと伸ばしまた抱きついてきた。
うん、お兄ちゃんは嬉しいよ!
「んっ、どう?」
ピピを抱きしめていると、影のように目の前にミーシャが現れ、少し照れたように聞いてきた。
「おっ、凄く似合っているじゃないか!」
褒めるとミーシャはケモミミをピンと伸ばしながらも顔を赤くして俯いた。口元が喜ぶのを我慢しようとしているのかピクピクしているが、ケモシッポはハッキリと喜びを表していて、シルと同じようにブンブンと振っている。
あのミーシャが清楚に見えるのが浴衣マジックであろう!
だが、動きにくいはずの浴衣姿で気配を消して一瞬で近付くのはやめてほしい。
「あっ!」
ミーシャから目線を少し上げたら、その先にジジがいて思わず声を出してしまった。
間違いなくミス浴衣はジジに決定だ!
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無意識に口から出ていた。
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「それじゃあ、そろそろ街に繰り出そうか!」
「「「はい(おう)!」」」
転げまわるドロテアさんを無視して街中に向かうのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
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「バルドー様に頼まれて、私が彼らをルームに入れて連れてきました」
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