転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟

文字の大きさ
上 下
198 / 315
第11章 エクス自治連合

第7話 ドロテア株再び!

しおりを挟む
ミーシャはこの緊迫した状況をまったく理解していないのか、ニコニコと笑顔を見せて俺の返事を待っている。

みんなの注目に冷や汗を流しながら、俺はミーシャに挨拶を返す。

「ひ、久しぶりミーシャ、随分と実力を付けたのが分かったよ」

まさか隠密スキルを見破られるとは思わなかった。ミーシャがたった数ヶ月で、これほど能力が上がったのは驚きでしかない。

しかし、今はそれよりも先にすることがある。何とかのじゃ嵐をやり過ごさなければならないのだ。

「うん、もうすぐA級冒険者になれる。これはテンマの取り分!」

いやいや、ミーシャちゃんや、今はそれどころでは……。

ミーシャは収納から革袋に入ったお金のようなものを出して手渡してきた。なんで俺の取り分なのか分からないが受け取ると想像以上に重たい。何となくだが、金貨が百枚ぐらいは入っていると感じた。

なんで俺の取り分が発生するんだ?

理由が分からず、念のために袋の中を確認するとやはり金貨が百枚ぐらい入っていた。疑問に感じてミーシャの顔を見ると、また革袋を収納から出して渡そうとする。

「ちょ、ちょっと俺の取り分って、なんの?」

焦って革袋を受け取る前にミーシャに尋ねた。

「んっ、私の稼ぎはテンマのお陰。稼いだお金は全部テンマに渡す?」

何でそうなるぅ~!

相変わらずミーシャの発想と行動は意味不明な部分が多い。

「テンマ! お、お主は女に稼がしておるのか!?」

おうふ、なんでそんな話になるぅ!

エアルが目を見開いて盛大な勘違いをしている。

待て、待てぇ~、なんでミーシャは次々と革袋を出しているんだぁ!

すでに十袋以上出して、まだ次々に出し続けている。

「ミ、ミーシャ、こんな所で出すのは止めてくれ!」

「んっ、わかった。後で渡す!」

後で渡さなくていいからぁ!

「テンマさん、それが昔の女なの?」

え~と、どっち? エアルは微妙に服が違うが、エリスとエリカは全く同じだから分からない。

いや、今はそんなことはどうでも良い!

「ミーシャはテンマの最初の女じゃ。見た通り昔ではなく、今も深い関係なのじゃ。そして、私もミーシャと同じで、今もテンマの女じゃ!」

勝手に女になるなぁーーーーー!

「「「そ、そんなぁ……」」」

3姉妹もそんな嘘の話にショックを受けました的な顔をしないでくれぇ!

エアル「昨日の晩あれほど楽しく過ごしたのに……」
エリス「あんなのは初めてだったのに……」
エリカ「優しく抱いて寝所まで……」

変な言い方をするなぁーーー!

一緒に俺が作った双六をして、3人共途中で寝たから仕方なくベッドまで運んだだけじゃないかぁ。

「ピピもいっしょで、たのしかったぁ~!」

うん、ピピも一緒だったよ……。

俺としては子供達と楽しく遊んだんだよ……。

だからお願い! マリアさんまで軽蔑の眼差しで俺を見ないでぇ。

「みんな一緒に遊、」

「テンミャァーーー! お前はいつから不埒な生活をするようになったのじゃぁ!」

うん、収拾がつかなくなった。なんでドロテアさんが居るとこうなるかなぁ?

ドロテアさんが魔力をまた練り始めてしまった。なぜかエアル3姉妹も魔力を練り始めて、全員が俺の方を見ている。

はいはい、俺に魔法を放つのは止めようね。

『『『頭痛(中)』』』

『『『ぎゃぁーーーーー!』』』

3姉妹に渡した魔道具にも設定しておいて良かったよ。

まあ、3姉妹はドロテア臭がしていたからな……。

おっ、ドロテアさんは(中)くらいでは復活が早くなった!?

砂浜で転げまわっていたドロテアさんだったが、驚くほど早く立ち直って叫んだ。

「テンミャァーーー! 久しぶりなのじゃ~!」

えっ、なんで喜んでいるのぉ!

「これがテンマの愛情表現なのじゃーーー!」

え~と、どういうことぉ?

愛情表現ではなく罰なんだけど……。

「「「これがテンマの愛!?」」」

3姉妹も違うから~!

3姉妹も転げまわるのをいつの間にか止めて、変なことに感心している。

「テンマさん、誤魔化すのに、それはいくらなんでも酷い仕打ちです! それに、まさかピピちゃんにまで……」

マリアさんまで……、誤解ですぅ!

それまで他人事のように、距離をとって様子を見ていたバルドーさんが、ようやく間に入って説明してくれた。

マリアさんはバルドーさんに昨晩の様子を聞いて、誤解を解いてくれたようだ。

しかし、のじゃのじゃ4姉妹は間違った方向に……。

ドロテア「あれが照れ屋のテンマの愛情表現なのじゃ」
エリカ「あれが愛情表現……、ポッ」
エリス「愛情より子種が欲しいわ……」
ドロテア「なんじゃ、それなら私と一緒ではないか!」
エアル「黒耳長族は人族のような愛情はないのじゃ。子種を貰えば落ち着くのじゃ!」
エリス「愛情はジジちゃんで問題無いでしょうねぇ」
ドロテア「なんじゃ、それなら仲良くやれそうじゃ!」

嵐は治まりそうだが、ドロテア株の猛威という危険が始まった気がする……。


   ◇   ◇   ◇   ◇


島に建てた屋敷のリビングに、みんなで戻ってきた。バルドーさんだけは、状況が落ち着いたので、王妃一行を呼びに小型魔導船で港に行ってしまった。

しかし、リビングはカオスとしか言えない状況になっている。

ミーシャはピピと一緒に、シルをモフりまくっている。その光景はほのぼのとして、微笑ましいと言えるだろう。

マリアさんの横にはリディアが座り、予想外の会話をしてた。

「マリア、また大きくなったんじゃないか?」

「ああん、そうやってすぐに胸を、あん、触るのは止めて。んふっ、昔から何度も言っているでしょう!」

なんか会話を聞くだけで興奮してしまう。リディアは同性?ということで、遠慮なく触り、揉みまくっている。マリアさんも多少は抵抗しているが、諦めたようにリディアの好きにさせている。

う、羨ましぃーーー!

優勝杯オッパイを好きに揉み、……ゲフン、自由にできるとは……。

「あの弱いバルガスと結婚したのか? 俺のご主人様の方が良かったのになぁ~」

「あん、私だって先にテンマさんに会ってたら、あっ、そこはダメぇ」

なんですとぉーーー!

もっと早く転生していたら……。くぅ~、優勝杯オッパイがぁ……!

「今からでも乗り換えたらどうだ?」

「くふぅ~、娘がいるから、ああん、簡単には、あん、もう、いい加減にしなさい! それよりも、あなたこそテンマさんの従魔とはどういうことよ?」

マリアさんはさすがに話ができないのか、怒ってリディアの手を払いのけた。

あれほど触りまくれば、怒って当たり前だよね。羨ましいけど……。

「どうせここに居ればバレるから教えてもいいかぁ。実はなぁ、俺はドラゴンで人化けしているのがこの姿なんだ。ご主人様にドラゴン姿でも叩きのめされて、気付いたら従魔になっていたんだよ。おっ!」

リディアの話にマリアさんは固まったようになり、それを見てまたリディアが胸を……。

抵抗しないからといってそんなに……。う、羨ましぃーーー!

「これでも俺は有名なんだぞ。ドラ美様とか呼ばれるからな」

「ドラ美様……、伝説の……」

マリアさ~ん、リディアが調子に乗って、やりたい放題でーーーす!

見ているこちらが変な気分になるぅ!

しかし、のじゃのじゃ4姉妹から危険な会話が聞こえてくる。そちらに視線を向けると何故かピョン吉が泣いているように見えた。

ピョン吉を挟んでドロテアさんと3姉妹が会話しているのだが、ドロテアさんはピョン吉の上に乗りかかって両手を組んでその上に顎を乗せて話している。3姉妹はピョン吉の体に張り付くように乗っかりながら話をしている。

4姉妹は微妙に体を揺すってピョン吉のプニプニの体を堪能しながら会話しているのだ。

ドロテア「テンマはジジと関係は進んでいるのか?」
エリカ「少し進んだ気はしますが……」
エアル「お主もジジとの関係が進まないと、子種を貰えないと思っているのじゃな?」
ドロテア「正妻が先じゃないと色々と問題があるのじゃ……」
エリス「長命な私達ならいくらでも……」

おいおい、ドロテア株を発症させるんじゃない!

ワクチンの存在しないドロテア株の感染者には、隔離が必要ではないかと真剣に考え始めるのであった。
しおりを挟む
感想 437

あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~

空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。 どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。 そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。 ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。 スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。 ※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。