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第10章 ホレック公国
第7話 黒耳長族の研修計画?
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エアルの回復祝いということで、今日も宴が開かれることになった。
広場には俺の作ったテーブルと椅子を並べている。女性には前世で見た子供用の椅子を用意して、テーブルの上にしっかり体が出るようにした。
イケメンマッチョなお父さんが幼稚園にきて食事会をしている感じだぁ。
そしていつの間にか出来上がったバルドーマッチョ親衛隊が、バルドーさんの指示で給仕することになった。収納の腕輪を一時的に貸し出して、腕輪にはすでに料理が収納されている。
ドラゴン姉妹は2人だけのテーブルを用意して座らせる。
「俺はオークカツを出してくれ。魚はもう十分だ!」
リディアが席に着くとすぐにそう言い始めた。
「んっ、そうなのか。今日は俺とジジが用意したんだぞ?」
別にそれで構わないが、後で文句を言われても困る。
「ふふふっ、オークカツ以上に至高の食事は存在しないのだ!」
リディアは不敵な笑みを浮かべて自信ありげに話している。
『あら、私はジジの料理を食べるわよ!』
ハル衛門は変な所で勘が鋭い。俺やジジの料理の事を知っているのである。
「なっ、ハル姉、どういうことだ!?」
『ジジの料理にこれまで外れはないわ。無駄にオークカツ貯金を減らす必要はないし、至高じゃなくても満足はできるはずよ!』
その頭の回転の速さを別の所で使って欲しい……。
「そ、そうなのか……、確かにジジの料理に外れはなかったなぁ。わかった、俺もジジの料理で頼む!」
腹の立つ会話だがドラゴン姉妹に腹を立てるだけ無駄である。
エリスが椅子の上に立ち上がって話を始める。
「皆のものぉ、テンマ殿から若返りポーションを賜ったエアル様が、完全に復調した」
いえいえ、それはドラゴン姉妹からです……。
「この通り私は無事じゃ! 若返りポーションのお陰であと数十年は生きられるじゃろう。これからもよろしく頼む!」
「「「おおう」」」
数十年?
まあ、色々気になることもあるが、気にしても仕方ないよな。
「そして今日はテンマ様達が、我らに食事を用意してくれた。感謝して食べるのじゃ!」
「「「うおお」」」
エアルがそう話すと、バルドーマッチョ親衛隊が収納から次々と料理を出していく。基本はテーブルごとに醤油と味噌の鍋を出し、鍋にも入っているが、茹でたカニの足も出していく。
そして女性には、鍋からお椀に盛り付けて食べやすく渡している。目の前に広がるカニの足に全員が驚いて手を付けていない。
しかし、エアル姉妹が身を乗り出してカニの身を奪い合いが始めると、それを見て勇気を出して試しに食べる人が出始める。そして、すぐにカニの奪い合いが本格的に始まったのである。
エアル「エリスそれは儂の分じゃ!」
エリス「母上様、嘘はダメです!」
エリカ「先に手にしたものに優先権があります!」
あのぉ~、あなた達はさっきつまみ食いをしてたよね?
リディア「ハル姉、尻尾でカニを確保するのは狡いぞ!」
ハル衛門『手の長さが違うのよ。それぐらいは当然の権利よ!』
醜い争いは無視して、ピピに食べやすくしたカニの身を出してやる。
ピピ「おいしいのぉ~」
ジジ「ダメですよ、テンマ様に迷惑をお掛けしては」
アンナ「な、な、なんなのよぉ、これは!」
ピピは自分で食べて殻の部分は、ピョン子にも渡している。ピョン子は殻ごとバリバリと食べて嬉しそうにしている。アンナは味噌や醤油の鍋が気に入ったのか喜んで食べている。
う、宴のはずが、奪い合う声以外は食べる音しか聞こえなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
さすがに村中で参加しているので、お代わりの分まで用意していない。食材はまだあるが準備にまでとなるとさすがに……。
なぜか物足りないと催促するような視線を感じるが、それは無視する。
『カニ貯金も作って欲しいわ!』
「さすがハル姉、最高のアイデアだ!」
うん、ドラゴン姉妹は絶対に無視しよう。
「あのカニが茹でるだけでこれほど美味しいとは知らなかったのじゃ。人生の大半を無駄にしてきたようで、悔しいのじゃ!」
エアルが本当に悔しそうに話した。
「それに料理はやはり必要です!」
エリカがエアルとエリスにそう訴える。
「分かっているのじゃ。しかし、我々の体で料理は……」
エリスが悲しそうに話した。
確かに黒耳長族《ダークエルフ》の女性が料理するのは、子供に料理させるようなものだ。体型的に鍋を持ったり、魚を捌いたりするのは難しい気がする。
「男が料理すれば良いのでは?」
彼らなら体型的に問題ないはずだ。
「男は漁をせねばならぬし、時期によっては農業もする必要があるのじゃ……」
う~ん、中々難しい問題が多いようだ。
「黒耳長族の女は魔術が得意じゃ。普段は魔物の討伐している。それに最近はホレックの連中が我々を攫いに来るのじゃ。戦いは女の仕事なんじゃ!」
え~と、気になる話がいくつもある。ひとつずつ処理しよう!
「どんな魔術が得意なんですか? 雷魔術とか土魔術が得意なら、漁や農業の手助けになりますよね?」
「んっ、土魔術は農業で実際に手伝っておるのじゃ。漁の手伝いは船を使う時に風魔術を使うぐらいだけじゃ。雷魔術も使える者はいるが、あまり役に立たないのじゃ」
「エアル様、それが雷魔術で漁をすると凄かったのです!」
エリカの息子が話しに入ってきて今日の漁について詳しく説明してくれた。
エアル「そのような方法で漁ができるとは……」
エリス「それにカニも食料になります!」
エリカ「それなら料理をするものがいても大丈夫でしょう!」
黒耳長族《ダークエルフ》が料理してこなかった理由がわかった。そして今後はそれらも改善するかもしれない。
「それなら色々と魔道具を提供するので、料理や食材の加工、それに醤油や味噌などの製造をしてみませんか?」
うん、料理と食品加工の研修施設でも作るかな。
「嬉しい申し出じゃ。しかし、それでは我々だけ助けてもらうようで申し訳ないのじゃ……」
エアルは申し訳なそうにしている。チラチラと俺の様子を窺っているのは、本当は頼みたいのだろう。
「もちろん、こちらも色々とお願いもあります。みなさんが欲しがらないかもしれない食材も作って欲しいし、食材や加工品を私達の分も確保して欲しいです。もしこの地を離れても定期的にリディアがとりにくれば良いし、私達も助かります」
「そ、そうか、それならお互い様ということじゃな。それなら遠慮なくお願いできるのじゃ」
エアルは嬉しそうに了承してくれた。俺としても乾物も欲しいし、調味料も確保したい。新鮮な魚介類も確保できれば大歓迎である。
「何なら、テンマ殿の夜伽にエリカを提供するのじゃ!」
いやいや、それは必要ありません!
エリスが提案して、エリカは頬を赤くしている。それを見てエアルも何か気付いたようだ。そして何か言おうとしたが、それより先にジジとアンナが言った。
「「ダメです!」」
お、俺もダメだと思ったよ!
何故か俺が2人に睨まれてしまった。
「そ、それは断ります! それよりホレックの事を聞かせてください」
ハッキリと断ると、エリカが悲しそうな顔をした。
だが、気にしたら負けだ!
そして、話を誤魔化すためにもう一つ気になっていたホレックの事を質問した。
「その辺は私が話を聞いております。ホレックとはホレック公国の事で間違いありません!」
いつの間にかバルドーさんが近くに居て、会話に入ってきた。
どうやって情報を集めたのかは聞かないようにしよう……。
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ドラゴン姉妹は2人だけのテーブルを用意して座らせる。
「俺はオークカツを出してくれ。魚はもう十分だ!」
リディアが席に着くとすぐにそう言い始めた。
「んっ、そうなのか。今日は俺とジジが用意したんだぞ?」
別にそれで構わないが、後で文句を言われても困る。
「ふふふっ、オークカツ以上に至高の食事は存在しないのだ!」
リディアは不敵な笑みを浮かべて自信ありげに話している。
『あら、私はジジの料理を食べるわよ!』
ハル衛門は変な所で勘が鋭い。俺やジジの料理の事を知っているのである。
「なっ、ハル姉、どういうことだ!?」
『ジジの料理にこれまで外れはないわ。無駄にオークカツ貯金を減らす必要はないし、至高じゃなくても満足はできるはずよ!』
その頭の回転の速さを別の所で使って欲しい……。
「そ、そうなのか……、確かにジジの料理に外れはなかったなぁ。わかった、俺もジジの料理で頼む!」
腹の立つ会話だがドラゴン姉妹に腹を立てるだけ無駄である。
エリスが椅子の上に立ち上がって話を始める。
「皆のものぉ、テンマ殿から若返りポーションを賜ったエアル様が、完全に復調した」
いえいえ、それはドラゴン姉妹からです……。
「この通り私は無事じゃ! 若返りポーションのお陰であと数十年は生きられるじゃろう。これからもよろしく頼む!」
「「「おおう」」」
数十年?
まあ、色々気になることもあるが、気にしても仕方ないよな。
「そして今日はテンマ様達が、我らに食事を用意してくれた。感謝して食べるのじゃ!」
「「「うおお」」」
エアルがそう話すと、バルドーマッチョ親衛隊が収納から次々と料理を出していく。基本はテーブルごとに醤油と味噌の鍋を出し、鍋にも入っているが、茹でたカニの足も出していく。
そして女性には、鍋からお椀に盛り付けて食べやすく渡している。目の前に広がるカニの足に全員が驚いて手を付けていない。
しかし、エアル姉妹が身を乗り出してカニの身を奪い合いが始めると、それを見て勇気を出して試しに食べる人が出始める。そして、すぐにカニの奪い合いが本格的に始まったのである。
エアル「エリスそれは儂の分じゃ!」
エリス「母上様、嘘はダメです!」
エリカ「先に手にしたものに優先権があります!」
あのぉ~、あなた達はさっきつまみ食いをしてたよね?
リディア「ハル姉、尻尾でカニを確保するのは狡いぞ!」
ハル衛門『手の長さが違うのよ。それぐらいは当然の権利よ!』
醜い争いは無視して、ピピに食べやすくしたカニの身を出してやる。
ピピ「おいしいのぉ~」
ジジ「ダメですよ、テンマ様に迷惑をお掛けしては」
アンナ「な、な、なんなのよぉ、これは!」
ピピは自分で食べて殻の部分は、ピョン子にも渡している。ピョン子は殻ごとバリバリと食べて嬉しそうにしている。アンナは味噌や醤油の鍋が気に入ったのか喜んで食べている。
う、宴のはずが、奪い合う声以外は食べる音しか聞こえなかった。
◇ ◇ ◇ ◇
さすがに村中で参加しているので、お代わりの分まで用意していない。食材はまだあるが準備にまでとなるとさすがに……。
なぜか物足りないと催促するような視線を感じるが、それは無視する。
『カニ貯金も作って欲しいわ!』
「さすがハル姉、最高のアイデアだ!」
うん、ドラゴン姉妹は絶対に無視しよう。
「あのカニが茹でるだけでこれほど美味しいとは知らなかったのじゃ。人生の大半を無駄にしてきたようで、悔しいのじゃ!」
エアルが本当に悔しそうに話した。
「それに料理はやはり必要です!」
エリカがエアルとエリスにそう訴える。
「分かっているのじゃ。しかし、我々の体で料理は……」
エリスが悲しそうに話した。
確かに黒耳長族《ダークエルフ》の女性が料理するのは、子供に料理させるようなものだ。体型的に鍋を持ったり、魚を捌いたりするのは難しい気がする。
「男が料理すれば良いのでは?」
彼らなら体型的に問題ないはずだ。
「男は漁をせねばならぬし、時期によっては農業もする必要があるのじゃ……」
う~ん、中々難しい問題が多いようだ。
「黒耳長族の女は魔術が得意じゃ。普段は魔物の討伐している。それに最近はホレックの連中が我々を攫いに来るのじゃ。戦いは女の仕事なんじゃ!」
え~と、気になる話がいくつもある。ひとつずつ処理しよう!
「どんな魔術が得意なんですか? 雷魔術とか土魔術が得意なら、漁や農業の手助けになりますよね?」
「んっ、土魔術は農業で実際に手伝っておるのじゃ。漁の手伝いは船を使う時に風魔術を使うぐらいだけじゃ。雷魔術も使える者はいるが、あまり役に立たないのじゃ」
「エアル様、それが雷魔術で漁をすると凄かったのです!」
エリカの息子が話しに入ってきて今日の漁について詳しく説明してくれた。
エアル「そのような方法で漁ができるとは……」
エリス「それにカニも食料になります!」
エリカ「それなら料理をするものがいても大丈夫でしょう!」
黒耳長族《ダークエルフ》が料理してこなかった理由がわかった。そして今後はそれらも改善するかもしれない。
「それなら色々と魔道具を提供するので、料理や食材の加工、それに醤油や味噌などの製造をしてみませんか?」
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エアルは嬉しそうに了承してくれた。俺としても乾物も欲しいし、調味料も確保したい。新鮮な魚介類も確保できれば大歓迎である。
「何なら、テンマ殿の夜伽にエリカを提供するのじゃ!」
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エリスが提案して、エリカは頬を赤くしている。それを見てエアルも何か気付いたようだ。そして何か言おうとしたが、それより先にジジとアンナが言った。
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だが、気にしたら負けだ!
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