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第10章 ホレック公国
第2話 会ってみたい!
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「海だぁーーー!」
目の前に広がる大海原に思わず声を上げる。岬のように海側に突き出した崖の上で、1人で声を上げた。
リディアの不穏な噂を聞いて、あの後本人から詳しく聞いた。
リディアの話では、定期的に町に出かけていたが、ほとんどはデンセット公爵領側が多かったようだ。ホレック公国側もこの数年で訪問した街は、国境の村から近いところばかりだった。
話を詳しく聞くとリディアが気の毒に思えるが、リディアが一緒だとどちらにしても目立ちそうであった。バルドーさんとも相談して、リディアが数十年単位で訪問していないはずの海までフライで向かうことにしたのだ。
空を飛びながら、すぐに海を見つけたが、やはり地面から見る海はまた違う。
初めて海を見るジジとピピの為に、砂浜のある場所に降りようと思った。しかし、砂浜のある場所は漁をしていたり、塩を採取したり作業をする人がいたので諦めた。そして人の見つからない場所で、感動的な海の対面に相応しい場所を見つけたのがここである。
D研を開いて皆を外に出すと、ジジとピピは驚きで固まってしまった。
「こ、これは、大丈夫なんですか!? 水がこんなに沢山で、変な臭いもします!」
ジジの感想を聞いて、確かにそんな風に感じても不思議ではないと思った。
「す、凄いのぉ~!」
ピピはそれだけ言うとシル達と大騒ぎを始めた。
『いやぁねぇ、騒ぎ過ぎよぉ。私は海を見ると、テンマに殺されそうになった時を思い出して、体がピリピリしちゃうわ!』
ハル衛門は未だにあの時の事をチクチクと攻めてくる。雷魔法でダンジョンの魔物を痺れさせたことを思い出しているのであろう。
「俺はこの匂いを嗅ぐと、食欲が……」
リディアはすでに海の幸を思い出したのか涎を垂らしている。
『そういえば、この先の島に勇者と一緒に戦った戦士の一族が住んでなかったかしら?』
おいおい、何年前の話だよ。地形も変わっているのじゃないのか?
「それなら数百年以上前に行ったときは、生きていたぞ。元々長命な種族だし、あいつは魔力量が多かったから、さらに寿命が長かったな。それでもすぐにでも死にそうな感じだったけどな」
へぇ~、長命な種族が島に住んでいんだぁ。
「どんな種族なんだ?」
「どんな? 見た目はほとんどテンマ達と同じだったなぁ。俺は詳しくは知らない」
『確か耳が人族より長いから、耳長族と言ったわね。確かタケルはダークエルフとか言っていたわよ』
なんですとぉーーー! まさかのダークエルフですかぁ!?
ちょっとワイルドな感じでありながら、肌の色が濃く色っぽいヤンキー系のお姉さんが居る、あのダークエロフ……ゲフン、ダークエルフですか!?
自分の読んでいたラノベやゲームでは、そんなキャラ設定だった気がするぅ。
「あいつら生で魚を食べるからなぁ。生はもう十分に食べたから、俺は料理した食べ物が良いなぁ」
なんですとぉーーー! まさか刺身を食べる種族ですかぁ!?
気になる話が次々と出てくる。
「そこは意外と遠いのかな?」
「んっ、別に遠くないと思うぞ。俺がドラゴンに戻って飛んで行けば、半日で着くはず」
うん、全然問題ないと距離だな!
『でも、あいつら他の種族との交流はしないじゃなかったかしら?』
「そうなのか? 俺は問題なくご馳走してくれたぞ」
『それは、知り合いがいたからでしょ。さすがにもう死んでいるはずよ。そうなれば相手にしてくれないんじゃないかしら?』
「大丈夫じゃないか? 娘がいたはずだから、たぶん俺の事は分かると思うけど」
どっちなんだぁーーー!
いや、何とか交流を深めたい。ダメもとで一目だけでもダークエルフを見てみたい!
「な、何事も経験だ。一度会ってみようかなぁ。時間も幾らでもあるから行ってみよう!」
「それでは、念のために出発は明日にしませんか?」
確かにバルドーさんの言う通り、もうすぐ暗くなるから明日向かうことにしよう!
◇ ◇ ◇ ◇
その日は岬の先にテーブルを出して夕食を食べることにした。
最初は海を怖がっていたジジだったが、海に沈む夕日を見て、その壮大さに感動したのか夜になる頃には怖がる感じは無くなった。
俺はフライで海面まで下りると、雷魔法を何回か使った。すぐに魚や魔物が浮き上がってきたので止めをさして収納した。
バーベキュー用の竈を土魔術で使って作ると、その晩は魚を大量に食べた。久しぶりの海の幸にその日は堪能したのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
翌朝は朝からドラ美ちゃんの案内で、ダークエルフの住む島に向かった。ドラ美ちゃんも久しぶりなのか迷ってしまい、島に着いたのは暗くなり始めた頃だった。
島は幾つも群島のように複数あり、感動の対面は翌日に持ち越すことになった。地図スキルで人の居ない小さな島に降りると、その日は『どこでも自宅』で過ごした。
翌朝朝食をゆっくり食べてから、1人で幾つもある島を確認していく。複数の島に囲まれるように真ん中に少しだけ大きな島があり、その一画に人と思われる集団を見つけた。秘かにリディアに隣の島で確認してもらう。
「間違いない! あれが俺の知っている村のはずだ」
リディアの返事を聞くと遠目スキルで、水辺で漁をする人影を確認する。
あれっ、随分とイメージと違うぞ?
まあ、俺のイメージではセクシーなビキニスタイルの浅黒い肌の女性だから、見えている男性や子供は全く考えていなかったので仕方がない。それでも予想通り浅黒い肌で、耳はエルフ耳をしている。しかし、どちらかといえば細身をイメージしていたのだが、大人の男性はハッキリ言ってマッチョだった。
漁師だと考えれば変でもないのだが、やはり違和感があった。
後は女性エルフに期待しようと考えて、リディアを一時的にルームに入れ、隠密スキルを使ってその島にフライで移動する。人の居ない所でリディアを出して、一緒に先程の漁師たちにゆっくりと近付くのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
近付いて改めて様子を見ると、幼い女の子たちが火の番をしている。まだ寒い時期のはずだが、水辺で銛のようなもので魚を獲ろうとしているマッチョたちは、上半身裸である。
バルドーさん好みがたくさんいるぅ~!
「お~い、すまないが話をさせてくれぇ!」
リディアは警戒心が全くないのか、普通に子供たちに声を掛ける。
子供たちは俺達を見ると驚いた顔をして、すぐに警戒するように俺達と火を間に挟むような位置に移動した。
「エアルは生きているか? 生きていたらリディアが会いに来たと伝えて欲しいのだが」
相手が警戒しているのを一切気にしないで、リディアは子供たちにさらに近付きながら話しかける。
「お、お前達はホレックの連中だな!」
子供の1人がしっかりとした話し方で、怒りの表情を見せて叫んだ。
「んっ、ホレック? 俺はホレックとは関係ないぞ。エアルの父親のエクスの知り合いのリディアだ。エアルは死んじゃったのか?」
「嘘をつくな! エクス様は随分前に亡くなった。人族がそれほど長生きするはずないだろ。エクス様の名前をどこで聞いたか知らないが、そんな嘘が通用すると思っているのか!」
うん、子供とは思えないほど、しっかりした女の子だ。
「う~ん、どう話せばわかるかなぁ?」
リディアは何も考えていない気がするぅ。
知り合いが見つからなかったことを考えていないのだろう。
ドスッ!
どうするか考えていると、目の前に銛が投げ込まれた。
漁をしていたマッチョ軍団が、こちらに向かって走ってくるのが見える。
バルドーさんに任せた方が、上手くいく気がするぅ~!
臨戦態勢で子供たちを守るように、マッチョたちが我々に対峙したのである。
目の前に広がる大海原に思わず声を上げる。岬のように海側に突き出した崖の上で、1人で声を上げた。
リディアの不穏な噂を聞いて、あの後本人から詳しく聞いた。
リディアの話では、定期的に町に出かけていたが、ほとんどはデンセット公爵領側が多かったようだ。ホレック公国側もこの数年で訪問した街は、国境の村から近いところばかりだった。
話を詳しく聞くとリディアが気の毒に思えるが、リディアが一緒だとどちらにしても目立ちそうであった。バルドーさんとも相談して、リディアが数十年単位で訪問していないはずの海までフライで向かうことにしたのだ。
空を飛びながら、すぐに海を見つけたが、やはり地面から見る海はまた違う。
初めて海を見るジジとピピの為に、砂浜のある場所に降りようと思った。しかし、砂浜のある場所は漁をしていたり、塩を採取したり作業をする人がいたので諦めた。そして人の見つからない場所で、感動的な海の対面に相応しい場所を見つけたのがここである。
D研を開いて皆を外に出すと、ジジとピピは驚きで固まってしまった。
「こ、これは、大丈夫なんですか!? 水がこんなに沢山で、変な臭いもします!」
ジジの感想を聞いて、確かにそんな風に感じても不思議ではないと思った。
「す、凄いのぉ~!」
ピピはそれだけ言うとシル達と大騒ぎを始めた。
『いやぁねぇ、騒ぎ過ぎよぉ。私は海を見ると、テンマに殺されそうになった時を思い出して、体がピリピリしちゃうわ!』
ハル衛門は未だにあの時の事をチクチクと攻めてくる。雷魔法でダンジョンの魔物を痺れさせたことを思い出しているのであろう。
「俺はこの匂いを嗅ぐと、食欲が……」
リディアはすでに海の幸を思い出したのか涎を垂らしている。
『そういえば、この先の島に勇者と一緒に戦った戦士の一族が住んでなかったかしら?』
おいおい、何年前の話だよ。地形も変わっているのじゃないのか?
「それなら数百年以上前に行ったときは、生きていたぞ。元々長命な種族だし、あいつは魔力量が多かったから、さらに寿命が長かったな。それでもすぐにでも死にそうな感じだったけどな」
へぇ~、長命な種族が島に住んでいんだぁ。
「どんな種族なんだ?」
「どんな? 見た目はほとんどテンマ達と同じだったなぁ。俺は詳しくは知らない」
『確か耳が人族より長いから、耳長族と言ったわね。確かタケルはダークエルフとか言っていたわよ』
なんですとぉーーー! まさかのダークエルフですかぁ!?
ちょっとワイルドな感じでありながら、肌の色が濃く色っぽいヤンキー系のお姉さんが居る、あのダークエロフ……ゲフン、ダークエルフですか!?
自分の読んでいたラノベやゲームでは、そんなキャラ設定だった気がするぅ。
「あいつら生で魚を食べるからなぁ。生はもう十分に食べたから、俺は料理した食べ物が良いなぁ」
なんですとぉーーー! まさか刺身を食べる種族ですかぁ!?
気になる話が次々と出てくる。
「そこは意外と遠いのかな?」
「んっ、別に遠くないと思うぞ。俺がドラゴンに戻って飛んで行けば、半日で着くはず」
うん、全然問題ないと距離だな!
『でも、あいつら他の種族との交流はしないじゃなかったかしら?』
「そうなのか? 俺は問題なくご馳走してくれたぞ」
『それは、知り合いがいたからでしょ。さすがにもう死んでいるはずよ。そうなれば相手にしてくれないんじゃないかしら?』
「大丈夫じゃないか? 娘がいたはずだから、たぶん俺の事は分かると思うけど」
どっちなんだぁーーー!
いや、何とか交流を深めたい。ダメもとで一目だけでもダークエルフを見てみたい!
「な、何事も経験だ。一度会ってみようかなぁ。時間も幾らでもあるから行ってみよう!」
「それでは、念のために出発は明日にしませんか?」
確かにバルドーさんの言う通り、もうすぐ暗くなるから明日向かうことにしよう!
◇ ◇ ◇ ◇
その日は岬の先にテーブルを出して夕食を食べることにした。
最初は海を怖がっていたジジだったが、海に沈む夕日を見て、その壮大さに感動したのか夜になる頃には怖がる感じは無くなった。
俺はフライで海面まで下りると、雷魔法を何回か使った。すぐに魚や魔物が浮き上がってきたので止めをさして収納した。
バーベキュー用の竈を土魔術で使って作ると、その晩は魚を大量に食べた。久しぶりの海の幸にその日は堪能したのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
翌朝は朝からドラ美ちゃんの案内で、ダークエルフの住む島に向かった。ドラ美ちゃんも久しぶりなのか迷ってしまい、島に着いたのは暗くなり始めた頃だった。
島は幾つも群島のように複数あり、感動の対面は翌日に持ち越すことになった。地図スキルで人の居ない小さな島に降りると、その日は『どこでも自宅』で過ごした。
翌朝朝食をゆっくり食べてから、1人で幾つもある島を確認していく。複数の島に囲まれるように真ん中に少しだけ大きな島があり、その一画に人と思われる集団を見つけた。秘かにリディアに隣の島で確認してもらう。
「間違いない! あれが俺の知っている村のはずだ」
リディアの返事を聞くと遠目スキルで、水辺で漁をする人影を確認する。
あれっ、随分とイメージと違うぞ?
まあ、俺のイメージではセクシーなビキニスタイルの浅黒い肌の女性だから、見えている男性や子供は全く考えていなかったので仕方がない。それでも予想通り浅黒い肌で、耳はエルフ耳をしている。しかし、どちらかといえば細身をイメージしていたのだが、大人の男性はハッキリ言ってマッチョだった。
漁師だと考えれば変でもないのだが、やはり違和感があった。
後は女性エルフに期待しようと考えて、リディアを一時的にルームに入れ、隠密スキルを使ってその島にフライで移動する。人の居ない所でリディアを出して、一緒に先程の漁師たちにゆっくりと近付くのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
近付いて改めて様子を見ると、幼い女の子たちが火の番をしている。まだ寒い時期のはずだが、水辺で銛のようなもので魚を獲ろうとしているマッチョたちは、上半身裸である。
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リディアは警戒心が全くないのか、普通に子供たちに声を掛ける。
子供たちは俺達を見ると驚いた顔をして、すぐに警戒するように俺達と火を間に挟むような位置に移動した。
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相手が警戒しているのを一切気にしないで、リディアは子供たちにさらに近付きながら話しかける。
「お、お前達はホレックの連中だな!」
子供の1人がしっかりとした話し方で、怒りの表情を見せて叫んだ。
「んっ、ホレック? 俺はホレックとは関係ないぞ。エアルの父親のエクスの知り合いのリディアだ。エアルは死んじゃったのか?」
「嘘をつくな! エクス様は随分前に亡くなった。人族がそれほど長生きするはずないだろ。エクス様の名前をどこで聞いたか知らないが、そんな嘘が通用すると思っているのか!」
うん、子供とは思えないほど、しっかりした女の子だ。
「う~ん、どう話せばわかるかなぁ?」
リディアは何も考えていない気がするぅ。
知り合いが見つからなかったことを考えていないのだろう。
ドスッ!
どうするか考えていると、目の前に銛が投げ込まれた。
漁をしていたマッチョ軍団が、こちらに向かって走ってくるのが見える。
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