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第9章 ホレック公国へ
第19話 テケテケテェ~
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リディアからオークカツ貯金を始めたいと言われたが、色々と問題がある。
「すまないけど、オークカツ貯金を始めても、我々はすぐに旅立つ予定だ。だから貯金できても払出が難しいと思う。残念だがオークカツ貯金は諦めてくれ。
ここに俺達が居る間にオークを持ってくれば、オーク1頭でオークカツ3枚に交換してあげるよ」
リディアは先程昼食を済ませたばかりなのに、涎を垂らしまくっている。人の話を聞いているか不安になる。
『ちょっとぉ、私が先払いした分は返してよね!』
相変わらずハル兵衛はがめついなぁ。
「オークが大量にいる場所に案内するぜ! それで勘弁してくれよぉ」
『100頭以上居ないと許さないわよ!』
「ふははは、桁が違うよ!」
2人は何やら相談を始めた。なんかオークが気の毒に思うのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ハル兵衛とリディアは相談が終わると、コソコソと出かけていった。
ピピ達が出かけようとするとバルドーさんが止める。
「この周辺は危険な魔物が多くいます。今のピピ達では倒せないでしょう。狩に行くのはダメです!」
そういえば、確かにこの周辺の魔物は今までとは違う感じがする。俺としてはリディアをドラゴン種だから別格と感じていた。そのせいで周辺の魔物はそれほど気にしていなかったのだ。
しかし、ピピ達の能力ではバルドーさんの言う通り、この辺の魔物は危険な感じがする。山側は明らかに倒せるとは思わないし、近くにはオークの集落もある。
集落は幾つも点在して存在していたし、小さな集落でも100頭近く居るのだ。オーク数頭なら問題ないが、さすがにどうにかできる数ではない。
「え~、狩に行きたかったなぁ」
ピピが残念そうに話した。
俺としては食材として周辺の魔物を狩りたい。しかし、ピピに我慢させるのに自分だけ行くとは言い辛い。色々考えて今日は物造りに励むことにした。
ピピとシルが森で走り回るのを見ながら、バルドーさんが昔過ごした家の修復をすることにした。
外見はあまり変えずに修復する。すでに木造の扉や窓は完全に壊れて家といっても、屋根があるだけだ。リディアはよくこんな所に1人で住んでいたと感心する。
扉や窓は作り替え、百年単位でも壊れないように様々な付与を施した。家の内部は2LDKぐらいしかなかったが、空間拡張で中を広くして、内部は2階に分ける。
1階は広いリビングとダイニング、魔道具を使ったキッチンを配置して、さらには風呂場まで作る。2階は寝室にして8部屋に分けた。
これで快適になるとピピ達を迎えると、大喜びで家の中を走り回っていた。そこにバルドーさんが帰ってきたので喜んでくれるかと思って説明した。
「長年過ごした雰囲気がなくなりましたねぇ……」
引きつった笑顔で呟くのを聞いて、やってしまったと反省する。それにこの家の持ち主であるリディアの許可を取っていなかったと気付いた。
今さになってまずいと思っていたら、リディアとハル兵衛が帰ってきた。
◇ ◇ ◇ ◇
「なんじゃこれぇーーー!」
階下からリディアの叫び声が聞こえてきた。急いで階下に降りるとリディアはソファに座って笑顔になっている。
「あ、あまりに中が酷かったから、綺麗にしたんだけど……」
さすがに無断でリフォームしたので、遠慮気味に話す。
「最高だよ! 最近は隙間風どころじゃなかったからな。それがこれほど快適な家になるとは、テンマは凄いなぁ」
うん、ドラゴン種は細かいことは気にしないようだ!
『当然よぉ、テンマならこれぐらい簡単よぉ~』
なんでハル兵衛が自慢気に話すのか理解できないが、不満はないようなので大丈夫……。
何故かバルドーさんが悲し気な表情をしている。綺麗にした壁を撫でながら何か呟いていた。
「ここに日付を刻んでいたのに……」
うん、聞かなかったことにしよう!
「それでオークはどれぐらい狩れたんだ?」
ハル兵衛たちに尋ねる。
「半分は俺の分だからな!」
『分かっているわよぉ。半分にしてそこからオークカツ20枚分を返してもらうからね!』
この姉妹は完全に食い気だけで生きてる気がするぅ!
呆れながらも、それなりにオークを狩ったのだと思ってハル兵衛の収納を確認する。
「ハル兵衛さんや、なんでオークが600頭以上収納されているのかな?」
『それは必死に狩ってきたからに決まっているじゃない!』
「ガハハハハ、今日は時間が足りないから集落を3つほど殲滅しただけだよ!」
ドラゴン種は油断したらとんでもないことをするようだ。
「この周辺はオークとゴブリン、それにウルフ系や熊系の魔物が、お互いにけん制し合ってバランスが取れていたはずです。オークだけそれほど殲滅したら、バランスが崩れて大丈夫でしょうか?」
バルドーさんが心配そうに話した。ハル兵衛はまるで自分は関係ないという感じだ。リディアが少し焦った表情で説明した。
「だ、大丈夫だ。いつもここに戻ってくると、それぐらいは殲滅しているからな……」
少し目が泳いでいるのは気になるぅ。
「本当だよね。嘘だったらオークカツは提供できないよ!」
そう話すとリディアは泣きそうな表情になって本当のことを話した。
「ちょっと狩り過ぎたかも……。でも他の魔物を狩って調整するから大丈夫……だと思う」
ドラゴン種の話は信じてはダメなようだ。
それから3日間は、ハルとリディアと一緒に空から魔物の分布を確認して、魔物の間引きに奔走することになった。
◇ ◇ ◇ ◇
気付くと新年を迎えていた。魔物も無事に間引くことで、お互いが自分達のテリトリーに引っ込んでくれたようだ。
俺はハル兵衛とリディアに話をする。
「ハル兵衛さんや、これからこの地で、姉妹で暮らしたら?」
『えっ、嫌よ! テンマと一緒に居ないとオークカツ貯金が無駄になるじゃない!』
いやいや、オークカツの為に一緒に居るのかよ!?
「それは大丈夫だよ。マジックボックスをこの家に設置するから、その中に貯金を払い出して入れておくから」
『ダメよ! それだと食べたら貯金が減るだけじゃない!』
何故かそういうことは頭が回るのね……。
「でも、それはリディアも同じじゃないか。妹を残していくのは可哀そうだろ?」
「えっ、俺はテンマ達について行くよ?」
おいおい、誰がそんな許可を出したんだぁ。
『そうよぉ、その方が私も良いと思ったのよぉ。妹のリディアを残していくのは可哀そうじゃない!』
え~と、なんで勝手に一緒に行くことにしてるんだ……?
「俺の口座を作ってくれないから、お姉ちゃんの口座を使うしかないだろ?」
う~ん、ドラゴン種とまともに話してもダメな気が……。
『そもそもテンマが悪いのよ。私をこんな体にして、もうテンマから離れられないじゃないのぉ』
ミニオークにクラスチェンジしたのは、俺のせいじゃない。まあ、そういう意味で無いのは理解できるが、その言い方はどうなんだろう。
それに俺から離れられないじゃなくて、俺と一緒にいるジジと離れられないのだろ!
リディアは完全にジジに餌付けされて、暇なときはジジのそばを離れなくなっている。見た目はリディアが姉のようだが、会話を聞くとジジが完全に主導権を握っている。
間違いなく餌付けされているのだが、ジジの護衛と考えるとハル兵衛より役に立ちそうだ。アンナにも上手く懐いているようだし、できればハル兵衛だけ置いて行きたいぐらいだ。
俺は少し考えてから2人に話す。
「一緒に行動するにしても、俺の規則には従ってもらう!」
「『わかった(わ)!』」
2人が了承したのでそれぞれの通帳を改めて作り直した。
「テケテケテェ~」
俺は口でそう言うとそれぞれに通帳を渡す。
リディアは嬉しそうに受け取ったが、通帳の名義を見て文句を言う。
「なんで名前が『リディア(ドラ美)』なんだよ!?」
『まあ、諦めなさい。テンマは変なことに拘るからねぇ。私の名前も……』
ハル兵衛は通帳の名義を見て固まっている。まあ戸惑うのも理解できる。
『なんで私の名前が『ハル兵衛(ハル衛門)』になっているのよぉ。また変な名前を付けないでよぉ!』
…………何となく!?
「まあ、そういうことで諦めてくれ!」
「『どういうことよ(だ)!』」
テケテケテェ~、それは言えません……。
ドラ美には新しく収納と呪術を施した魔道具を渡す。折角なのでハル衛門にもお揃いで魔道具を造り直した。鈴の飾りのついたチョーカーを渡すと2人は喜んでくれた。
うん、色々とやり過ぎている気がする……。
「すまないけど、オークカツ貯金を始めても、我々はすぐに旅立つ予定だ。だから貯金できても払出が難しいと思う。残念だがオークカツ貯金は諦めてくれ。
ここに俺達が居る間にオークを持ってくれば、オーク1頭でオークカツ3枚に交換してあげるよ」
リディアは先程昼食を済ませたばかりなのに、涎を垂らしまくっている。人の話を聞いているか不安になる。
『ちょっとぉ、私が先払いした分は返してよね!』
相変わらずハル兵衛はがめついなぁ。
「オークが大量にいる場所に案内するぜ! それで勘弁してくれよぉ」
『100頭以上居ないと許さないわよ!』
「ふははは、桁が違うよ!」
2人は何やら相談を始めた。なんかオークが気の毒に思うのであった。
◇ ◇ ◇ ◇
ハル兵衛とリディアは相談が終わると、コソコソと出かけていった。
ピピ達が出かけようとするとバルドーさんが止める。
「この周辺は危険な魔物が多くいます。今のピピ達では倒せないでしょう。狩に行くのはダメです!」
そういえば、確かにこの周辺の魔物は今までとは違う感じがする。俺としてはリディアをドラゴン種だから別格と感じていた。そのせいで周辺の魔物はそれほど気にしていなかったのだ。
しかし、ピピ達の能力ではバルドーさんの言う通り、この辺の魔物は危険な感じがする。山側は明らかに倒せるとは思わないし、近くにはオークの集落もある。
集落は幾つも点在して存在していたし、小さな集落でも100頭近く居るのだ。オーク数頭なら問題ないが、さすがにどうにかできる数ではない。
「え~、狩に行きたかったなぁ」
ピピが残念そうに話した。
俺としては食材として周辺の魔物を狩りたい。しかし、ピピに我慢させるのに自分だけ行くとは言い辛い。色々考えて今日は物造りに励むことにした。
ピピとシルが森で走り回るのを見ながら、バルドーさんが昔過ごした家の修復をすることにした。
外見はあまり変えずに修復する。すでに木造の扉や窓は完全に壊れて家といっても、屋根があるだけだ。リディアはよくこんな所に1人で住んでいたと感心する。
扉や窓は作り替え、百年単位でも壊れないように様々な付与を施した。家の内部は2LDKぐらいしかなかったが、空間拡張で中を広くして、内部は2階に分ける。
1階は広いリビングとダイニング、魔道具を使ったキッチンを配置して、さらには風呂場まで作る。2階は寝室にして8部屋に分けた。
これで快適になるとピピ達を迎えると、大喜びで家の中を走り回っていた。そこにバルドーさんが帰ってきたので喜んでくれるかと思って説明した。
「長年過ごした雰囲気がなくなりましたねぇ……」
引きつった笑顔で呟くのを聞いて、やってしまったと反省する。それにこの家の持ち主であるリディアの許可を取っていなかったと気付いた。
今さになってまずいと思っていたら、リディアとハル兵衛が帰ってきた。
◇ ◇ ◇ ◇
「なんじゃこれぇーーー!」
階下からリディアの叫び声が聞こえてきた。急いで階下に降りるとリディアはソファに座って笑顔になっている。
「あ、あまりに中が酷かったから、綺麗にしたんだけど……」
さすがに無断でリフォームしたので、遠慮気味に話す。
「最高だよ! 最近は隙間風どころじゃなかったからな。それがこれほど快適な家になるとは、テンマは凄いなぁ」
うん、ドラゴン種は細かいことは気にしないようだ!
『当然よぉ、テンマならこれぐらい簡単よぉ~』
なんでハル兵衛が自慢気に話すのか理解できないが、不満はないようなので大丈夫……。
何故かバルドーさんが悲し気な表情をしている。綺麗にした壁を撫でながら何か呟いていた。
「ここに日付を刻んでいたのに……」
うん、聞かなかったことにしよう!
「それでオークはどれぐらい狩れたんだ?」
ハル兵衛たちに尋ねる。
「半分は俺の分だからな!」
『分かっているわよぉ。半分にしてそこからオークカツ20枚分を返してもらうからね!』
この姉妹は完全に食い気だけで生きてる気がするぅ!
呆れながらも、それなりにオークを狩ったのだと思ってハル兵衛の収納を確認する。
「ハル兵衛さんや、なんでオークが600頭以上収納されているのかな?」
『それは必死に狩ってきたからに決まっているじゃない!』
「ガハハハハ、今日は時間が足りないから集落を3つほど殲滅しただけだよ!」
ドラゴン種は油断したらとんでもないことをするようだ。
「この周辺はオークとゴブリン、それにウルフ系や熊系の魔物が、お互いにけん制し合ってバランスが取れていたはずです。オークだけそれほど殲滅したら、バランスが崩れて大丈夫でしょうか?」
バルドーさんが心配そうに話した。ハル兵衛はまるで自分は関係ないという感じだ。リディアが少し焦った表情で説明した。
「だ、大丈夫だ。いつもここに戻ってくると、それぐらいは殲滅しているからな……」
少し目が泳いでいるのは気になるぅ。
「本当だよね。嘘だったらオークカツは提供できないよ!」
そう話すとリディアは泣きそうな表情になって本当のことを話した。
「ちょっと狩り過ぎたかも……。でも他の魔物を狩って調整するから大丈夫……だと思う」
ドラゴン種の話は信じてはダメなようだ。
それから3日間は、ハルとリディアと一緒に空から魔物の分布を確認して、魔物の間引きに奔走することになった。
◇ ◇ ◇ ◇
気付くと新年を迎えていた。魔物も無事に間引くことで、お互いが自分達のテリトリーに引っ込んでくれたようだ。
俺はハル兵衛とリディアに話をする。
「ハル兵衛さんや、これからこの地で、姉妹で暮らしたら?」
『えっ、嫌よ! テンマと一緒に居ないとオークカツ貯金が無駄になるじゃない!』
いやいや、オークカツの為に一緒に居るのかよ!?
「それは大丈夫だよ。マジックボックスをこの家に設置するから、その中に貯金を払い出して入れておくから」
『ダメよ! それだと食べたら貯金が減るだけじゃない!』
何故かそういうことは頭が回るのね……。
「でも、それはリディアも同じじゃないか。妹を残していくのは可哀そうだろ?」
「えっ、俺はテンマ達について行くよ?」
おいおい、誰がそんな許可を出したんだぁ。
『そうよぉ、その方が私も良いと思ったのよぉ。妹のリディアを残していくのは可哀そうじゃない!』
え~と、なんで勝手に一緒に行くことにしてるんだ……?
「俺の口座を作ってくれないから、お姉ちゃんの口座を使うしかないだろ?」
う~ん、ドラゴン種とまともに話してもダメな気が……。
『そもそもテンマが悪いのよ。私をこんな体にして、もうテンマから離れられないじゃないのぉ』
ミニオークにクラスチェンジしたのは、俺のせいじゃない。まあ、そういう意味で無いのは理解できるが、その言い方はどうなんだろう。
それに俺から離れられないじゃなくて、俺と一緒にいるジジと離れられないのだろ!
リディアは完全にジジに餌付けされて、暇なときはジジのそばを離れなくなっている。見た目はリディアが姉のようだが、会話を聞くとジジが完全に主導権を握っている。
間違いなく餌付けされているのだが、ジジの護衛と考えるとハル兵衛より役に立ちそうだ。アンナにも上手く懐いているようだし、できればハル兵衛だけ置いて行きたいぐらいだ。
俺は少し考えてから2人に話す。
「一緒に行動するにしても、俺の規則には従ってもらう!」
「『わかった(わ)!』」
2人が了承したのでそれぞれの通帳を改めて作り直した。
「テケテケテェ~」
俺は口でそう言うとそれぞれに通帳を渡す。
リディアは嬉しそうに受け取ったが、通帳の名義を見て文句を言う。
「なんで名前が『リディア(ドラ美)』なんだよ!?」
『まあ、諦めなさい。テンマは変なことに拘るからねぇ。私の名前も……』
ハル兵衛は通帳の名義を見て固まっている。まあ戸惑うのも理解できる。
『なんで私の名前が『ハル兵衛(ハル衛門)』になっているのよぉ。また変な名前を付けないでよぉ!』
…………何となく!?
「まあ、そういうことで諦めてくれ!」
「『どういうことよ(だ)!』」
テケテケテェ~、それは言えません……。
ドラ美には新しく収納と呪術を施した魔道具を渡す。折角なのでハル衛門にもお揃いで魔道具を造り直した。鈴の飾りのついたチョーカーを渡すと2人は喜んでくれた。
うん、色々とやり過ぎている気がする……。
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