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閑話〜公爵令嬢のひとりごと〜

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私は、エレオノーラ·フォン·クロイツ。


公爵家の長女として生まれて、両親と兄を筆頭に、親戚一同、使用人たちにも、それはそれは可愛がられて育ったの。



自分で言うのはおかしいかしら?


うふふっ。



蝶よ花よと育てられたわたくし。

我が儘で傲慢な…子に育つわけではなく、素直で真っ直ぐな可愛らしい乙女に育ちましたの。



…自分で言うのはおかしいかしら?


うふふっ。



6歳の時に、この国ベルナドッテ王国の第二王子との婚約が決まってから、王子妃教育が始まって…。





始まって…。





始まったのよ…。





フッ(𓁹‿𓁹)







ほんっとにやだ。もー無理!!


なんであんなバカ王子と婚約なの?


はぁ?!


てか、なんであんなにバカなの?!!


名前なんて何だっていいいわ。バカ王子はバカ王子だから!


むきぃ~!!



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



婚約が正式に決まって直ぐに、王妃様からお茶会に誘われた6歳の私。

父と王妃様がいとこで、我がクロイツ公爵家と王妃様は近しい親戚。…と言う訳で、6歳の少女が王宮庭園のガゼボで、王妃様と二人きりでお茶会。



人払いをして二人きりになって王妃様から伝えられた真実と、これからの話を聞いて、6歳だった私はビックリ。



それから10年耐えたの…。




偉いわ~自分。




耐えたわ~自分。




「エレオノーラ、私を信じてもう少しだけ耐えてくださいませ。必ず、必ず助けますから!」



あの時王妃様から聞いた話は、6歳の私にはかなりの衝撃だったけど、王妃様が言うことはすんなりと受け入れられたからあら不思議(笑)


でも、6歳にあんなこと話しちゃって良かったのかしら?



10歳になって、お母様と二人きりで話をしたときに、王妃様と話したことを伝えたら、復習を兼ねて、より詳しく教えてもらったけど…。


王族…こわ~。


王妃様、かっけえ~!



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



さて、バカ王子の婚約破棄宣言にはビックリしたけど、あちらの有責で婚約破棄できたから良しとしましょ。




わたくしは、王子に婚約破棄された惨めな公爵令嬢?



…ンなわけないでしょ(笑)



周りの皆様からは


『第二王子殿下にはもったいない…』


『クロイツ公爵令嬢が余りにも可哀想過ぎる』


『王家は何を考えてこの婚約を王命で出したのか…』


なんて、色々と言われていたみたい。

お父様から聞いたから間違いないわ。





にしても、本当にないわー。


隣国に嫁ぐとばかり思ってたのに、まさかの第二王子と婚約。それも王命とか。


ないわー。


王命と言われてしまえば、お父様も断ることが出来なくて…(あの頃は)仕方なく婚約を受けたけど。


あのときのお母様の氷のような笑顔…。めちゃくちゃ怖かった~。


お兄様の笑顔も…東の国の般若とかいう怖い顔のお面みたいで…。


(((;"°;ω°;)):ガクガクガク




忘れましょ…。


うん。


そうしましょ…。





心の声は決して表には出さずに!公爵令嬢として、第二王子の婚約者として、淑女のお面を被り続け!頑張った私はやっと自由よ~!!



ひゃっほ~!



領地へ静養に?やってきた私、ご飯が美味しくて美味しくて!ついつい食べ過ぎてしまいましたわ。



いい仕事してるわよシェフ!んもう最高よ!





はっ!






痩せなくちゃ…。



レーテやレーンと久しぶりに遠乗りにも行きたい!



お友達だって作りたい!



腹の中が真っ黒けな貴族じゃなくて、探り合うような貼り付けた笑顔ではなくて、本当の笑顔で笑いあえる友人。


うきゃぁ~!憧れる!


同じ年頃の、何でも話せる、遠慮とかしない、可愛らしい女の子がいいなぁ。



あ…



でも、セルマやレーテやレーンに気に入られる子じゃないと無理か、な…。



うぅ~ん。


そこか…。



え~。


急にハードル高くない?

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