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04 ー touch ー
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しおりを挟む約束した今日は、無事晴れて、でもかなり寒い日。
午後から、新しい皿洗い機の納品の事でそんなに遠くない施設に出向かなければならなくなって、一瞬定時に上がれないのではないかと焦った。
一度設置して、サイズは合うものの動線に難が出来たので非効率になったと苦情が出ていたのだ。
じゃあ新型じゃなく同じ機材の新品で良かったのではと言うと、新型のモニターとして割安にする取引なんだとか面倒な契約をしたのだと言われ、結局、同型機を最近設置した近隣施設を調べて、そこと交換設置する事で落ち着いた(割安になった分は工事費で相殺になってしまったが)。
運転コストも低い新型と交換してくれた施設は喜んでいたけれど、こういう、業者との個人的なやり取りが実際にあるのを目の当たりにすると、まだまだ何かありそうで頭が痛くなる。
設置の手伝いも終わって上着を着ていると、通りすがりに何度か会ったことのある管理栄養士に挨拶をされて、少し立ち話をした。
シーズンメニューの事に話が行って、そこから、どこのケーキが美味しいだの、材料のことや、料理やお酒の事や。
「この時期やっぱりみんな沢山食べますよね。冬眠の準備みたいに、カロリーの高いものがやっぱりよく出るんですよ」
「はは、よくわかります」
「冬場は何でもスープにしてしまえば食材ロスも減りますしね。澄んだものより色々入って煮込んだものの方が喜ばれますから」
「あ、やっぱりロスは出ますか」
「そうですねえ。なるべく無駄の無いようにメニュー組みますけど、給食なんかで全然手を付けない人もいるので、食べ残しでもないのに確実に廃棄になってしまうので頭が痛い所です」
「あー……」
何故か知り合いの事を言われてるようで申し訳ない気持ちになってしまう。
「病院食だと患者さんの状況によって指示が来るからそこそこ予測つきますし、学校なんかは残りもそんなに出ないんですけど、こういう、本当に色々な人のいる所は難しいですね。ここの近くの寮も担当しているんですけど、ほとんど食べないどころか全部人に上げてしまうような人もいて、顔色も良くないし、ああいうのはロスどうこうより心配してしまいますね」
……何だか本当に海のやりそうな話だな。
そういえば、どこの寮にいたか聞いてはいなかった。彼の身の上話は何となく聞き出しにくくて、自分から話してくれるタイミングに任せていた。
「ここの近くの寮って言うと、病院のそばのあそこですか」
「ええ、病院と両方担当していました」
障害者の寮だと言ってたから本当にそうかも知れない。今日は立ち寄る時間が無いけど、今度のぞいて来ようかな。
設置業者が作業の終了を報告に来て、管理栄養士はじゃあまた、と挨拶をして立ち去った。
書類にサインをして、ご苦労様でした、と言うと、「お手伝いいただき助かりました、いつもの年配のかただと無理だから」と逆に礼を言われた。
やっぱりそれが、僕がこの部署に配属された理由だよなぁと苦笑いして、作業車を見送った。
さて、今日は職場の駅で待ち合わせだ。
今日ぐらいは一緒に呑んでもらってもいいかな。
予定なんかない、と言い切る人に色んなイベントを提供したい。
お節介のしがいのある人に。
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