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02 ー he ー
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「一番最初に、指輪を捨てて……それでもう平気になったつもりで、他は放ったらかしだったんだよな。別に、一緒に住んでた訳でもないけど、女の子って何か、色々置いてったり、家の中を自分の好みにしようとするから、そういうのが結構残ってて、気付くたびに、まあ、ちょっと迷いながら捨てたりしてさ」
「……」
「君と会ったあの雨の日は、別に模様替えするつもりもなかったけど、たまたま、いい感じのカーテンを見つけて、ああ、カーテンもあの子が選んだんだっけ、って……。それで全部変えようと思って、買って帰る途中だった」
「……ああ…荷物、持ってたな」
「うん。君のおかげで、その荷物を濡らさずに帰れて、カーテンを全部掛け替えられた」
「そうか」
「何だか家ごと新しくなった気がしてさ、その時、それまで自分がどれだけ後ろ向きだったか初めて気付いて……」
「……」
「たぶん、あの時僕は、君に救われたんだ」
「大げさだ……」
「本当だから」
大げさなんかじゃない。
何も持っていない君が、借りた傘も自分のために使わないで、僕にさしかけてくれた。
君が何も持ってない事を知るほどに、その君がこうしてくれる事が嬉しかった。
「君は、優しいよ」
雨の中、他に誰もいなくて、背後の君がどんな顔してるか分からないから、何だって言えるような気にもなる。
「優しくて、いい奴だよ。いつもそう思ってる」
「そんな事はない」
「今もこうして、僕に傘をさしてくれる」
「あんたは班長だからな。何かあったら、俺が休むより大ごとだ」
「ははは。ありがとう」
冗談めかした思いやりなのか。温かい気持ちになる。
雨の音にかき消されそうな小さい声でも、すぐ傍にいるから、ちゃんと聞こえる。
こんなに近くにいる、と自覚してどきどきする。
雨が止むまでこのままでも全然いいし、雨が止まなくてもいい。
君がこうして傘をさして守ってくれて、ずっとここに、近くにいてくれて、雨の中二人きりだ。
このままでいいな…
「……」
「君と会ったあの雨の日は、別に模様替えするつもりもなかったけど、たまたま、いい感じのカーテンを見つけて、ああ、カーテンもあの子が選んだんだっけ、って……。それで全部変えようと思って、買って帰る途中だった」
「……ああ…荷物、持ってたな」
「うん。君のおかげで、その荷物を濡らさずに帰れて、カーテンを全部掛け替えられた」
「そうか」
「何だか家ごと新しくなった気がしてさ、その時、それまで自分がどれだけ後ろ向きだったか初めて気付いて……」
「……」
「たぶん、あの時僕は、君に救われたんだ」
「大げさだ……」
「本当だから」
大げさなんかじゃない。
何も持っていない君が、借りた傘も自分のために使わないで、僕にさしかけてくれた。
君が何も持ってない事を知るほどに、その君がこうしてくれる事が嬉しかった。
「君は、優しいよ」
雨の中、他に誰もいなくて、背後の君がどんな顔してるか分からないから、何だって言えるような気にもなる。
「優しくて、いい奴だよ。いつもそう思ってる」
「そんな事はない」
「今もこうして、僕に傘をさしてくれる」
「あんたは班長だからな。何かあったら、俺が休むより大ごとだ」
「ははは。ありがとう」
冗談めかした思いやりなのか。温かい気持ちになる。
雨の音にかき消されそうな小さい声でも、すぐ傍にいるから、ちゃんと聞こえる。
こんなに近くにいる、と自覚してどきどきする。
雨が止むまでこのままでも全然いいし、雨が止まなくてもいい。
君がこうして傘をさして守ってくれて、ずっとここに、近くにいてくれて、雨の中二人きりだ。
このままでいいな…
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