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02 ー he ー
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しおりを挟む「……俺、ちょっと……おかしいので、…本当に、…すみません…」
声がどんどん小さくなっていく。
「どうしたの。何かあった」
「……何でも…」
あった。
あったけど、自分でも何だか分からない。
近づかないで欲しい。触らないでほしい。
何だか分からないものを、どうしていいか分からない。
「…そう…?」
班長は隣で小さく固まる男を見て、また何か気にさせるような事言っただろうかと心配する。
いつもいつも、感情がマイナスの方にやたらデカく振れる。そしてやたら引きずる。
この前家でグラスを割ってからずっと落ち込んでるみたいで、その半分は自分のせいでもあると思うと、少し責任を感じてしまう。
これ、プラスにしてやらないと。
どうしてやろう。ええと…
「あ、今度、何食べたい?」
「…え」
「何かリクエストあれば、また作るよ」
「あ、え、いい、まだ、ある」
「まだある…?」
「まだ、2回分…」
「嘘。まだ食べ終わってないの」
「あ…うん…まだ…」
「あれ、1日分3食のつもりだったんだけど、あれから1回しか食事してないって事?流石だなぁ」
携帯灰皿に煙草の灰を落として笑う。
彼に合わせて小さいタッパーで、3食分に分けて渡したが、男でこの位の年頃なら1.5食分強くらいの量だろう。運動部学生なら全然足りないくらいだ。
「まぁ、3度同じものも飽きちゃうか。この時期はすぐ悪くなるから、食べ切るのが無理だったら、捨てちゃってもいいよ」
「無理じゃない…」
捨てる、と言う言葉に反応してうろたえる。
またそんな、人のものをゴミには出来ない。せっかく作って持たせてくれたものを。
ふるふると首を振ると、髪が揺れて顔にかかる。
まだ鬱陶しい部分があるな、と、乱れた部分を押さえて俯く。
「無理じゃない。今日、食べる」
「え、今日2回分?行けるの」
「今日、と明日の朝、に分けて、食べる…」
「…わかった。頑張れ」
班長は笑って、ふと首を傾げてまじまじと見つめる。
「何か、感じ違うな、こないだと」
「な、何が…」
「髪の毛、少し切った?」
「え?」
話が飛んで着いて行けない。
「こないだの時はもう少し長かった気がする」
「あ、ああ…、切った…風呂場で…」
「え、自分で?」
そうだ。自分で、やけくそ半分で切った。ごちゃごちゃになりながら、いい加減に切った。
「それでか。ちょっと後ろが斜めになってる」
言われて、海はパッと襟足を押さえる。
後ろはそんなに分からないと思ったのに。だから近くに寄られるのは嫌なんだ。
下を向いて、頭に手を突っ込んでぐしゃりと髪を乱す。その手もまた、震える。
「はは。大丈夫だ。見てすぐ分かるものじゃないから」
「……」
だったら言わなくていい。もういい、もうどっか行って欲しい。
「もう、いい…」
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