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02 ー he ー
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しおりを挟む「今日は、何…」
「何って…昨日来てないから」
「仕事場で会ってるだろ」
「話してないし」
「仕事中だから」
またか、この押し問答。寄せて返す波。
押し戻されるもんか。こっちは前だけ見て走れと散々言われて来たんだからな。
「あー…、ね、どっか遊びに行かないか、休みの日」
「え…う…ん」
勢いに押されて頷いてしまう。班長は嬉しそうに笑う。
「やった。どこか行きたい所ある」
「…どこでも…」
「アトラクションパークとか好き?」
「何する所?」
「ホラーハウスとか、コースターとか、スペースアドベンチャーとか、VR迷路とか。楽しいよ。子供でも行けるよ」
彼女や子供のいる友人達と良く遊びに行った。
特徴もパークによって様々で、敷地面積が広くとにかく身体を動かすアトラクションや、逆に狭い立地の中で最新技術を駆使するような施設、ちょっと昔の遊園地だって、それはそれである意味スリルがあって面白い。
けれど海は、気が乗らなさそうに答える。
「…そういうのは、あんまり…」
「あ、そう…うーん。じゃあ、映画館。3D4Dの。ミストとかモーションシートとか、臨場感凄いよ」
「モーションシート?」
「うん、座席が映画に合わせてガンガン動くんだ、アクション映画なんか凄く…」
「酔う…」
「……」
「…人が近いのも…」
「ああ、近いか…あ、でも、電車には乗れてるし、こういう所で普通に仕事もしてるのに、駄目かい」
「仕事は、最低限で済む。パーテーションもある」
「電車は」
「電車はきつい」
「だろうなあ」
「でも、混んでいても、みんな黙って、人の感じがしない様にしてるから、我慢出来る」
ヒトノカンジガシナイ ……?
「ええっと、干渉し合わない様にしてるって事?」
「そうだ。余り混んでいない所の端っこで、何とかするけど…ドアも窓も閉じてるから、たまに苦しくなる」
「ふうん…」
そういやバス酔いしてたか。閉じた所が駄目なら、観劇や演奏会とかのホールでやるようなのも、駄目か…。
人が多いのが無理なら、スポーツ観戦なんかも駄目だろうし…
「ギャラリーとか…は、展示によっては混むだろうけど、混んでないのに行けば、…いや、人が来てない展示なんてつまんないか…じゃあ、動物園とか、水族館とか、どう?人はいても、広いよ。天井も高いし」
「連れてこられて、出られないんだろ、ああいうのって。否定はしないけど、わざわざ見たくはない」
「えぇ。僕は好きなんだけど、そう言われると…じゃあショッピング…普通に人多いか…」
「…いいよ、別に。どうせ休みの日はどこにも出かけない」
「じゃあオートカー呼んでどこか行くかい」
「どこかに行く途中で酔うから、いいよ…」
「……」
うーん。
だったら車では寝てればいいんじゃない…と言おうとして、そうまでして出掛けさせるのはおかしいよなと考え直す。
「じゃあ…植物園とかは?いつも公園のあそこの森にいるだろう、ああいう感じの…」
「あんたは、植物、好きなのか」
「僕?僕はそんなでも…」
「……」
「……」
八方塞がりだ…
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