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chapter※13※※※

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「朱鷺、私…朱鷺のことちゃんと好きだからね」
「知ってる」
「…私の…情欲的な愛、深い友情、無償の愛、永続的な愛、自己愛、家族愛…全部朱鷺のもの…朱鷺に向けられていると自分で感じる」
「俺…82億人の中で一番…断トツで幸せ。自己愛が入っていたところが最高に嬉しい」
「そう?どうして?」

朱鷺は私と指を絡めて手を繋ぐと、水滴をたっぷりと纏ったままのグリーンを眺めて口を開いた。

「自己愛とは自分自身への愛や思いやりだと思う。だからまず…美鳥がそれを持っていることが嬉しい。古代ギリシャの人の話だったか…自分を愛せるということは、すなわち他人を愛する能力も持ち合わせているとか、他者への友好的な感情は、すべて自身に向けた感情に起因するとか…確か言っていた…美鳥は自分のことが後回しの傾向があるからな。自分を愛して、その上で俺を愛してくれるならこれ以上の幸せはないな」
「…アリストテレスじゃないかな…私、アリストテレスの‘Friendship is a single soul dwelling in two bodies.’が好き」
「…友情とは、二つの肉体に宿る一つの魂のことである…だな。俺と美鳥にもぴったりじゃないか」
「うん…どんな種類の愛も全部当てはまるのよ、朱鷺に向けては…全て」

朱鷺はぎゅうっと私の手を握ると

「俺が今美鳥に向けて何かを言うならば…愛してる以上の言葉が必要だ」

そう微笑んだ。

その微笑みがとても幸せそうで私は全身の細胞一つひとつが至福に包まれた。
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