手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ

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chapter※12※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

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「明後日には記事の公開をさせて頂きますし、ここの料理メニューにもお声を添えさせて頂きます」
「お役に立てそうですか?」
「「はい、ありがとうございます」」

2人が俺に頭を下げてくれた時

「オークワイナリーさん、今日はすぐに夜の営業なんで話が出来ないんだが近々もう一度来て頂きたい。ワインを置いてみようかと思うので」
「ありがとうございます、料理長。明日はもう予定が詰まってしまっているので明後日…営業のお邪魔にならない時間帯に…3時ごろはいかがでしょうか?」
「それでいい。よろしく」

料理長が手を上げて厨房に下がる。

「柏木さん、今から打ち上げしませんか?」
「そんな必要がどこにありますか?たった1時間の、しかも美味しいものをいただく仕事の打ち上げなど必要ない」
「えーでも、次回に向けての反省会とか必要でしょ?」
「次回があるほどの活躍ではないと思いますよ」

俺は佐井と目も合わせずにワインを片付ける。
封を切ったワインは置いて行ってもいいかと確認すると

「私たちが後で頂いてもいいですか?」
「書くときの参考までに」
「もちろん、どうぞ。お世話になりました。失礼致します」

すぐに店を出て迎えを呼ぶ。
そして1階ラウンジで珈琲を注文した。

「「あっ…」」

珈琲を一口飲みカップを置いたところで、ふーっと周りを見渡すとラウンジの外を歩く美鳥と目が合った。
一瞬気まずそうにしたか?と思ったが彼女はこちらへ来ると

「もう終わりましたか?」
「終わった。広報用にどんどん料理を出してもらったからね」
「ありがとうございました。お疲れ様でした」
「元気そうだね」
「はい、ありがとうございます」
「そういえば…さっきはスーツではなかったか…?」
「ああ…そうですね。少し違いましたけどすぐにフロントのヘルプに降りることになって着替えたんです」
「それでここ通ったんだ」
「はい。ゆっくりされているところお邪魔しました。失礼します」
「美鳥…さん」
「…?」

呼び止めた俺を美鳥が不思議そうに見る。

「もう一度聞くけど…俺には可能性はない?」
「…申し訳ありません」

彼女はとても丁寧に腰を折ると、失礼しますとラウンジを出て行った。

「今の人、蜷川ご令嬢じゃないの?」

入れ違いに入ってきた俺の母親ほどの年齢の女性が連れの女性に言っている。

「ご令嬢だけどご令嬢じゃなかったってところなんでしょ?反対かしら?」
「うふふ…どちらとも言えるわね」
「蜷川は蜷川で間違いないけど本家のお嬢さんでなかったなんてね」

はっ?どういうことだ?
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