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chapter※12※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

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予定の便で到着した空港で待っていたのは朱鷺だった。彼は私を見つけると、ほんの一瞬、私の頭を片手で自分に引き寄せたあと

「兄妹じゃないとちゃんと言えたんだな、美鳥。一緒の時でなくて悪かった…大丈夫か?」

大丈夫か?と聞きながら、とても穏やかで嬉しそうな笑顔を見せる。

「支配人から聞いたの?私は事実を言っただけ。でも、もっと誉めてくれていいよ」

そう言いながらキャリーバッグを朱鷺に差し出すと、彼はそれを受け取り私の手を握って歩き始めた。

「いいの?」
「いい」
「ふふっ…社長さんがこんな時間に手を繋いで歩いてていいの?」
「いい」
「そっか…朱鷺、ただいま」
「ん、おかえり。大活躍だったって?」
「あー私が報告することない感じなの?」
「ふっ…マンションか屋敷へ送ろうか?」
「いやよ。執務室で大活躍を語ろうと思っていたのに」
「ははっ、冗談だ。西田に顔見せないとやつれてるぞ」
「失礼な心配具合だね。で、この時間によく朱鷺一人で出て来られたね?」
「愛があるからな」
「朱鷺による名言産出?」
「ぶっ…美鳥は四字熟語産出か?」

私たちは時折指を絡ませ合いながら、執務室までのドライブデートを楽しんだ。

車にキャリーバッグは乗せたまま、いつものバッグだけを肩に掛けて朱鷺とホテル内を歩くと

「蜷川社長、美鳥さん」

後ろから声を掛けられた。

「柏木専務。北海道のレストラン等が大変お世話になりありがとうございました」

朱鷺が美しく腰を折る。

「こちらこそ、いいメニューを揃えて頂いて力が入りました。ありがとうございます」

柏木専務は真っ直ぐに朱鷺を見て挨拶をすると

「こんにちは、美鳥さん」

とにこやかに私を見る。

「こんにちは。北海道の店舗に入る7月の予約のうち、いくつかはレストランのご予約も同時に頂いているそうです。きっとメニューとワインとのペアリングを楽しみにしていただいているんだと思います」
「それは嬉しいですね」
「柏木専務…その荷物は?納品ですか?」

ポータブルカートに大きな荷物を乗せている彼に聞くと

「ワインですけど納品ではなく、懐石料理店での試食試飲対談のようなものだと…Ninagawaさんの広報企画にご協力しつつ、ワインも宣伝させていただきます」

と笑った。

「そうなんですか、楽しみにしています」
「私も楽しみです。フカヒレを使った料理などと先にお品書きを頂いたので美容にも健康にも心にもいいものを…と台詞まで考えて来ました、ははっ」
「さらに楽しみです。よろしくお願いいたします、柏木専務」
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