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chapter※12※※※※※※※※※※※※
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「噴水の縁に座って珈琲を飲んでるの。すっごく綺麗な天気を独り占めしたような空間だよ」
朱鷺はそれには無言で、がさごそ衣擦れのような音だけがする。
ベッドから出たのだろうか…シャッという小さな音がして
‘こっちは曇ってるな…おはよう、美鳥’
きっとリビングのカーテンを開けて空を見たであろう朱鷺が言った。
「同じ空見てるのにね…明日、この空を飛んで帰るよ」
‘明日帰っていいのか?’
「今夜、能勢支配人と話をしてからしか決められないけど…夜の便に変更はしても延泊はしないつもり。東京からミーティングに参加させてもらえば十分だし、支配人を中心にこちらのスタッフで完結させてもらってもいい。現地のスタッフと違う旅行客目線で提案だけ出来て、それが誰の手で完成してもいいの。何もかも把握して最後まで自分が…っていう気はないから。チームの誰が点を取ってもいいのよね、私」
‘美鳥だな’
「そう?それにね、私…あちこちへ行かせてもらった経験はあるから気づきはあるけど、それに数字を乗せていく作業は素人でしょ?他に適任者がいらっしゃると思っているから…好きなことを言うだけ言って帰る」
‘それでいい。各店舗の支配人が全責任と決定権を持っているんだから、それでいいんだ。企画担当や執行部も内部目線になりがちだから、その目線は貴重だ’
「うん。じゃあ、今日は館内を隅々まで歩いてきます」
‘ご苦労さん。美鳥’
「うん?」
‘胸…覗ける服?俺の印、見て’
ここで?そう思いつつも浅いVネックニットを指で一瞬だけ少し引っ張ると
「うん…見た見た…あるよ」
‘今日も一日一緒だ、美鳥。楽しめよ。一日会えない今日も愛してる’
朱鷺はそう言い通話を終えた。
すっかり冷めた珈琲を飲み、もう一度空を見上げる。
この空は朱鷺へも繋がっているんだ。
朱鷺はそれには無言で、がさごそ衣擦れのような音だけがする。
ベッドから出たのだろうか…シャッという小さな音がして
‘こっちは曇ってるな…おはよう、美鳥’
きっとリビングのカーテンを開けて空を見たであろう朱鷺が言った。
「同じ空見てるのにね…明日、この空を飛んで帰るよ」
‘明日帰っていいのか?’
「今夜、能勢支配人と話をしてからしか決められないけど…夜の便に変更はしても延泊はしないつもり。東京からミーティングに参加させてもらえば十分だし、支配人を中心にこちらのスタッフで完結させてもらってもいい。現地のスタッフと違う旅行客目線で提案だけ出来て、それが誰の手で完成してもいいの。何もかも把握して最後まで自分が…っていう気はないから。チームの誰が点を取ってもいいのよね、私」
‘美鳥だな’
「そう?それにね、私…あちこちへ行かせてもらった経験はあるから気づきはあるけど、それに数字を乗せていく作業は素人でしょ?他に適任者がいらっしゃると思っているから…好きなことを言うだけ言って帰る」
‘それでいい。各店舗の支配人が全責任と決定権を持っているんだから、それでいいんだ。企画担当や執行部も内部目線になりがちだから、その目線は貴重だ’
「うん。じゃあ、今日は館内を隅々まで歩いてきます」
‘ご苦労さん。美鳥’
「うん?」
‘胸…覗ける服?俺の印、見て’
ここで?そう思いつつも浅いVネックニットを指で一瞬だけ少し引っ張ると
「うん…見た見た…あるよ」
‘今日も一日一緒だ、美鳥。楽しめよ。一日会えない今日も愛してる’
朱鷺はそう言い通話を終えた。
すっかり冷めた珈琲を飲み、もう一度空を見上げる。
この空は朱鷺へも繋がっているんだ。
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