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chapter※11※※※※※※※※※※※※※※※※
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皆がもう十分だと言うので帰ろうかと動き始めた時
「敦子さん、振り袖ってお茶会に着ます?」
「ううん、年明けの初釜以外は着ないわね」
私の視線を3人が追った。
「高田頭取ですね、美鳥様」
「あっ、頭取…見えた。ということは…お振り袖はお嬢様?佐井さんのブログで見ただけではわからないですね」
西田さんはそれには答えずいつもより早口で言った。
「亨さん、敦子さん。素通り出来なければ一悶着あります。耐えて下さい」
「「はい」」
二人も短く答えたと思ったら敦子さんがとても小さく囁いた。
「場違いなだけでなく振り袖ギリギリの年じゃないの?暑苦しいわね…メイクも色目も柄も」
誰も答えられるはずがない…駆け寄る勢いで頭取が私たちの前に来たのだから。
「西田さん。いつもお世話になっております。今日は社長は?」
「ここには来ておりません」
「当行、ただいま大変困惑しておりまして…このところの蜷川様の動きが理解出来ないものですから…」
「理解出来ない?それならそれでよろしいと思いますよ?私どもは先を急ぎますので失礼致します」
亨さんたちはNinagawaと全く関係ない仕事をしており、朱鷺が日都銀行に対して今取っている措置を全く知らないから西田さんは切り上げようとしたのだと思う。だが
「お待ち下さい。先日お電話で西田さんが言われた、娘に聞けばいいということも、聞いてみましたが全くわからないんです。ありさは蜷川社長に会ってもいないし失礼した覚えがないどころか、失礼を働きようもないと申しますので」
と高田頭取が私たちの行く手を阻む。
「それはおめでたいお話で…私が申し上げたのは会う会わないではないんですがね。おめでたいと言えば、そのお召し物もとてもおめでたい雰囲気でございますね?本日は何かお祝い事?もしくはお見合いでいらしゃいますか?」
西田さんが言うと敦子さんが続けた。
「それならお話は分かります…安心致しました。本日のお茶会の亭主様は‘格’を大切にされていますから、私たち参加者もそれを心得て互いに身につけるものを楽しんでおりますので、お茶会に来られたのでなければ豪華絢爛なお振り袖でも安心ですね」
高田頭取親子が訳がわからない様子で顔を見合せたのを見て敦子さんが
「終わってる」
と息を吐いた。もう西田さんは相手をするつもりもないのか一歩歩き始めると
「本当に…理由だけでも教えて頂きたい」
「私も教えて頂きたいです。私が何かしましたか?」
親子で前に出てきた。
「敦子さん、振り袖ってお茶会に着ます?」
「ううん、年明けの初釜以外は着ないわね」
私の視線を3人が追った。
「高田頭取ですね、美鳥様」
「あっ、頭取…見えた。ということは…お振り袖はお嬢様?佐井さんのブログで見ただけではわからないですね」
西田さんはそれには答えずいつもより早口で言った。
「亨さん、敦子さん。素通り出来なければ一悶着あります。耐えて下さい」
「「はい」」
二人も短く答えたと思ったら敦子さんがとても小さく囁いた。
「場違いなだけでなく振り袖ギリギリの年じゃないの?暑苦しいわね…メイクも色目も柄も」
誰も答えられるはずがない…駆け寄る勢いで頭取が私たちの前に来たのだから。
「西田さん。いつもお世話になっております。今日は社長は?」
「ここには来ておりません」
「当行、ただいま大変困惑しておりまして…このところの蜷川様の動きが理解出来ないものですから…」
「理解出来ない?それならそれでよろしいと思いますよ?私どもは先を急ぎますので失礼致します」
亨さんたちはNinagawaと全く関係ない仕事をしており、朱鷺が日都銀行に対して今取っている措置を全く知らないから西田さんは切り上げようとしたのだと思う。だが
「お待ち下さい。先日お電話で西田さんが言われた、娘に聞けばいいということも、聞いてみましたが全くわからないんです。ありさは蜷川社長に会ってもいないし失礼した覚えがないどころか、失礼を働きようもないと申しますので」
と高田頭取が私たちの行く手を阻む。
「それはおめでたいお話で…私が申し上げたのは会う会わないではないんですがね。おめでたいと言えば、そのお召し物もとてもおめでたい雰囲気でございますね?本日は何かお祝い事?もしくはお見合いでいらしゃいますか?」
西田さんが言うと敦子さんが続けた。
「それならお話は分かります…安心致しました。本日のお茶会の亭主様は‘格’を大切にされていますから、私たち参加者もそれを心得て互いに身につけるものを楽しんでおりますので、お茶会に来られたのでなければ豪華絢爛なお振り袖でも安心ですね」
高田頭取親子が訳がわからない様子で顔を見合せたのを見て敦子さんが
「終わってる」
と息を吐いた。もう西田さんは相手をするつもりもないのか一歩歩き始めると
「本当に…理由だけでも教えて頂きたい」
「私も教えて頂きたいです。私が何かしましたか?」
親子で前に出てきた。
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