手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ

文字の大きさ
上 下
166 / 203

chapter※11※※※※※※※※※※※※※※※※

しおりを挟む
皆がもう十分だと言うので帰ろうかと動き始めた時

「敦子さん、振り袖ってお茶会に着ます?」
「ううん、年明けの初釜以外は着ないわね」

私の視線を3人が追った。

「高田頭取ですね、美鳥様」
「あっ、頭取…見えた。ということは…お振り袖はお嬢様?佐井さんのブログで見ただけではわからないですね」

西田さんはそれには答えずいつもより早口で言った。

「亨さん、敦子さん。素通り出来なければ一悶着あります。耐えて下さい」
「「はい」」

二人も短く答えたと思ったら敦子さんがとても小さく囁いた。

「場違いなだけでなく振り袖ギリギリの年じゃないの?暑苦しいわね…メイクも色目も柄も」

誰も答えられるはずがない…駆け寄る勢いで頭取が私たちの前に来たのだから。

「西田さん。いつもお世話になっております。今日は社長は?」
「ここには来ておりません」
「当行、ただいま大変困惑しておりまして…このところの蜷川様の動きが理解出来ないものですから…」
「理解出来ない?それならそれでよろしいと思いますよ?私どもは先を急ぎますので失礼致します」

亨さんたちはNinagawaと全く関係ない仕事をしており、朱鷺が日都銀行に対して今取っている措置を全く知らないから西田さんは切り上げようとしたのだと思う。だが

「お待ち下さい。先日お電話で西田さんが言われた、娘に聞けばいいということも、聞いてみましたが全くわからないんです。ありさは蜷川社長に会ってもいないし失礼した覚えがないどころか、失礼を働きようもないと申しますので」

と高田頭取が私たちの行く手を阻む。

「それはおめでたいお話で…私が申し上げたのは会う会わないではないんですがね。おめでたいと言えば、そのお召し物もとてもおめでたい雰囲気でございますね?本日は何かお祝い事?もしくはお見合いでいらしゃいますか?」

西田さんが言うと敦子さんが続けた。

「それならお話は分かります…安心致しました。本日のお茶会の亭主様は‘格’を大切にされていますから、私たち参加者もそれを心得て互いに身につけるものを楽しんでおりますので、お茶会に来られたのでなければ豪華絢爛なお振り袖でも安心ですね」

高田頭取親子が訳がわからない様子で顔を見合せたのを見て敦子さんが

「終わってる」

と息を吐いた。もう西田さんは相手をするつもりもないのか一歩歩き始めると

「本当に…理由だけでも教えて頂きたい」
「私も教えて頂きたいです。私が何かしましたか?」

親子で前に出てきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

白衣の下 先生無茶振りはやめて‼️

アーキテクト
恋愛
弟の主治医と女子大生の恋模様

優しい愛に包まれて~イケメンとの同居生活はドキドキの連続です~

けいこ
恋愛
人生に疲れ、自暴自棄になり、私はいろんなことから逃げていた。 してはいけないことをしてしまった自分を恥ながらも、この関係を断ち切れないままでいた。 そんな私に、ひょんなことから同居生活を始めた個性的なイケメン男子達が、それぞれに甘く優しく、大人の女の恋心をくすぐるような言葉をかけてくる… ピアノが得意で大企業の御曹司、山崎祥太君、24歳。 有名大学に通い医師を目指してる、神田文都君、23歳。 美大生で画家志望の、望月颯君、21歳。 真っ直ぐで素直なみんなとの関わりの中で、ひどく冷め切った心が、ゆっくり溶けていくのがわかった。 家族、同居の女子達ともいろいろあって、大きく揺れ動く気持ちに戸惑いを隠せない。 こんな私でもやり直せるの? 幸せを願っても…いいの? 動き出す私の未来には、いったい何が待ち受けているの?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...