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chapter※11※※※※※※※※※※※※※※

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「朱鷺、いってきます」

日曜日だが、このところの日都銀行の作業のせいで仕事が残っている朱鷺と遠藤さんが一緒に仕事をする部屋まで行くと

「美鳥、よく見せて」

朱鷺は立ち上がり、指先を回して私に一周回るように促す。

「グリーンとブルーがいいな。よく似合ってる」
「もっと趣のある和色で言ってよ。グリーンじゃなく萌黄色」
「それでか…さっき亨さんに会ったら萌黄色のちりめんのネクタイしてた」
「そうなの?敦子さんは萌黄色の着物だよ」
「美鳥様、庭で萌黄色親子三人の写真を撮りましょう。亨さんと敦子さんに差し上げられるように」
「はい、遠藤さんお願いします」

遠藤さんに庭で写真を撮ってもらう間にお父さんもやって来た。

「美鳥、綺麗になったね…あんなに食べない、話さない小さな子だったのに…」
「ちょっとちょっと…まだ嫁に出すわけでもなければ、嫁に出してもここの娘でしょ?今日は美鳥ちゃんのこの帯の柄のようにパァーっと弾けてきますよ」
「…敦子さんが弾けて来るんだね…まあ、うん…よろしく頼むよ。あとはここで一緒に食事をしよう。冴子さんも呼んである」
「要らないこと言った人の報告会ですね?そこは西田さんにお願いします」
「はい、お任せくださいませ」

ポンポンと会話が飛び交い、私は緊張する間もない。

「では、行って参ります」

西田さんの言葉で私たちは車へ

「えっ…今日はこれなの?…4人だからか…」
「お着物ですから後部座席に3人というわけにはいきません」
「久しぶりだなぁ…」
「えー私は初めて…失礼しまーす」

西田さんと私が言葉を交わす横を敦子さんがすり抜け、○ルセデスマイバッハS600プルマンに乗り込んだ。これは後ろが4人向き合って乗れるから今日は最適なんだろう。

私は未来を変える第一歩だと思いながら敦子さんに続いて乗り込んだ。
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