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chapter※11※※※※※※

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‘申し訳ありませんが…おっしゃる意味が…どうもわかりかねます’
「お嬢様に聞かれたらどうですか?私どもは社長の名前イコールNinagawa Queen's Hotelでございますから、社長の名前を下世話な興味に使われてはお付き合いできないと判断させて頂いた次第です。ご用件が以上でしたらこのまま失礼致します」
「わ……きった…?」

口を押さえて呟いた美鳥に答えてやる。

「きったな」
「…今のは何点の電話?」
「110点」
「遠藤さんは?」
「99点」
「マイナス1点は…何?」
「丁重過ぎますね」
「こっわ…」
「美鳥、次の電話出てみるか?」
「いえいえいえいえいえいえ…滅相もない、かたじけない」
「「「かたじけないっ?」」」
「…間違えた?おそれ多いってことで…」

何も無かったことにするかのようにキーボードを叩き始めた美鳥の頭を一撫でして

「次の電話は遠藤に回す」

と言いながら立ち上がると

「喜んで」

遠藤から嬉々とした声が返ってきた。

だが、その電話は現実にはならなかった。

その夜7時を過ぎて西田が先に帰り、10分後に俺と美鳥、そして遠藤が一緒に屋敷へ戻ることにした。

「今日はご飯を作りたくないというワガママで屋敷へお泊まりさせてください…って宮崎さんに電話しておいたから大丈夫」

クスクス笑いながら車に乗り込んだ美鳥に

「そんなの何て返事されるんだ?」
「ワガママでも理由があってもなくてもどうぞ…って完璧な返事が返ってくるよ。だから今日は1階で残っているケーキを買い占めてきたの」
「宮崎さんたちに?」
「うん、明日の朝に食べる人もいるだろうけど、とりあえずの気持ちだね。カフェに売れ残りもなく一石二鳥…一石二鳥はあってる?」
「あってる」

という俺の言葉に被せて

「はぁ?っ…ぶなぃ」

遠藤がブレーキを踏んだ。

何だ?

まだホテルから車体が半分出たくらいのところだぞ?

「高田親子ですね」

遠藤がそう言い、車スレスレに立つ親子に向けて運転席の窓を少しだけ開けた。

「危険な行為ですね?何か?」
「蜷川社長にお話させて頂きたい」
「話をする?謝罪ではなく‘話’ですか?急ぎますので失礼します。離れてください」

冷たく言い放った遠藤はゆっくりとアクセルを踏んだ。

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