手を伸ばした先にいるのは誰ですか～愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる～【完結】

chapter※09※※※※※※※※※※※※※※※※

「朱鷺様、ただいま戻りました」
「ご苦労だった、西田。日都銀行の出方はわからないが、これからの20年30年を見越して今のメインバンクの比率がベストとは言えないと思う」
「「はい」」
「小口の取引からすぐに第二第三へ分散させる」
「小口の取引こそ回数が多く手数料だけで莫大ですからね」
「そうだ。外資もうまく使え。俺個人の3割ほどはすでに移した」
「さすが朱鷺様」
「父さんは俺が見合いを断ると父さんに伝えた翌日に半分近く動かしたらしいぞ」

週明けの月曜日、西田を蜷川の使者に立て高田頭取へ見合いの断りを入れた。

パーティーで断ったにも関わらず見合いを申し入れてくるということは、仕事には関係のないことと言い切れない。

「お二人個人の預け入れが動いたとなると、法人の方は守ろうと丁重に動いてくるかもしれませんね」
「それならそれでいい。会社の回りが悪くならなければいい」
「それで…美鳥様からご連絡はちゃんと入っていますか？」

遠藤に聞かれ、やっと2軒目の写真がきて、その前に墓参りに行ったと伝える。

「朝から何かおかしいんだ…絶対に昨夜のうちに何かあった。俺、今日は美鳥のマンションへ帰る」

遠藤と西田の視線が突き刺さったが

「今の朱鷺様なら大丈夫だとわかりますから…お送りします」

遠藤が頷き、遠藤からすでに事情を聞いている西田は

「柏木専務が何か言ったと考えるのが妥当ですね…前日に会っているメンバーもメンバーですから…何かを…何でしょう…？」

腕を組んで椅子の背もたれに全体重を預けた。