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chapter※08※※※※※※
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「朱鷺様」
美鳥が見えなくなってすぐ、遠藤が小声で俺を呼ぶ。
「私、失礼ながら…朱鷺様を見直しました」
「ふっ…何とでも言ってくれ。いつどんな時も…どんな形であれ…美鳥が大切なだけだ」
「柏木様もおかしなことをおっしゃるわけではございませんが、朱鷺様のお考え通り今のタイミングはいただけない。男女の噂は常に面白おかしく伝わるもの…それが蜷川令嬢なら羨望も妬みも含んでしまう。さらに仕事のタイミングでその相手と、となると、どうやって仕事を取った?進めた?となりますから」
「だからそこを強調して言ったんだ。癒着の噂で金をどうの言われるのはまだいい。ただ美鳥が女を使ったなど一人でも言う者がいれば耐えられないだろ…美鳥は…」
「絶対と言えるほど、そういう者はおりますからね」
「…最後にイラついた…守るなど、簡単に口にするな…ってな」
「はい、お察しします。こういう噂や雑言は社内で多いものですからね。外部の人間では守ることはできない」
「だろ?」
「はい。今日の朱鷺様は最後まで本当に素晴らしい。今から美鳥様が屋敷でお泊まりになるのもいいと思います。よくここに泊まるとおっしゃらなかった」
「当然。好きな女を抱きたいだけの愛情なんて…とっくに何倍にも大きく深くなってる」
そう言ったときエントランスドアが開き
「美鳥…容器むき出しか…?ははっ…」
部屋着の肩に仕事のバッグ、手にプラスチック容器をそのまま…という不審な格好の美鳥が出てくる。
「えっ?ダメ?このまま乗せて下さーい」
最後は笑いながら後部座席に向かって小走りの美鳥にドアを開けてやった。
美鳥が見えなくなってすぐ、遠藤が小声で俺を呼ぶ。
「私、失礼ながら…朱鷺様を見直しました」
「ふっ…何とでも言ってくれ。いつどんな時も…どんな形であれ…美鳥が大切なだけだ」
「柏木様もおかしなことをおっしゃるわけではございませんが、朱鷺様のお考え通り今のタイミングはいただけない。男女の噂は常に面白おかしく伝わるもの…それが蜷川令嬢なら羨望も妬みも含んでしまう。さらに仕事のタイミングでその相手と、となると、どうやって仕事を取った?進めた?となりますから」
「だからそこを強調して言ったんだ。癒着の噂で金をどうの言われるのはまだいい。ただ美鳥が女を使ったなど一人でも言う者がいれば耐えられないだろ…美鳥は…」
「絶対と言えるほど、そういう者はおりますからね」
「…最後にイラついた…守るなど、簡単に口にするな…ってな」
「はい、お察しします。こういう噂や雑言は社内で多いものですからね。外部の人間では守ることはできない」
「だろ?」
「はい。今日の朱鷺様は最後まで本当に素晴らしい。今から美鳥様が屋敷でお泊まりになるのもいいと思います。よくここに泊まるとおっしゃらなかった」
「当然。好きな女を抱きたいだけの愛情なんて…とっくに何倍にも大きく深くなってる」
そう言ったときエントランスドアが開き
「美鳥…容器むき出しか…?ははっ…」
部屋着の肩に仕事のバッグ、手にプラスチック容器をそのまま…という不審な格好の美鳥が出てくる。
「えっ?ダメ?このまま乗せて下さーい」
最後は笑いながら後部座席に向かって小走りの美鳥にドアを開けてやった。
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