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chapter※06※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

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「私…ちょっとよくわからない…って言ったでしょ?最近何度か考えてたことはあるの…」
「うん、聞かせて」
「…このままは恥ずかし…」
「残念…じゃあ、あのベンチに座る?」

龍に促され、海に向かって一緒に並んで座る距離はブランコの時と同じく近い。ベンチは広いのに…

「何を考えた?」
「うん…好きとか恋愛…」
「うん」
「龍もブランコで言った‘恋’にも‘愛’にも心があるって…それを私も考えてね‘恋’という漢字は‘心’が土台になって揺れ動いたりひび割れたりするものだと考えたの。それが揺るぎないものになったときに‘心’が真ん中にきて‘愛’になる」
「俺と美鳥は思考も嗜好も似てるね。同じように漢字から考えたんだ」
「ほんとだ…それでつい先日旦那様…あっ、お父さんって言ったりいろいろなの…内緒だよ?」
「約束」

龍は小指と小指を絡めて私の手の甲にキスをする。本当に私たちの指切りになったらしい。

「えっと…その蜷川のお父さんがね‘私も美鳥を愛しているよ。愛とはそういう一面もある’って言ってくれたの。嬉しくて…でも私を千思万考させる言葉でもあるなって思っていたところで…今日…」
「ふっ…千思万考って…いいんじゃないか?一緒にこうしてたくさん話して‘愛’になればいいと思うよ、俺は」

私の頭を自分に引き寄せた龍は自分の頭をこちらへ倒して軽く乗せると、ゆっくり言葉を発した。

「Plain living and 「high thinking.」」
「ははっ、美鳥とハモった。俺の好きな言葉のひとつだ」
「私も好き。日本では、質素に暮らし自分の頭で考えるって訳されてるみたいだね」
「そうだな。あー俺このあと美鳥の言うことが分かる気がする。質素の部分?」
「わっ…やだ…」
「嫌なの?面白いほど分かるけど?」
「参りました」
「でもはしょらず聞かせてよ。ハモりながら話そうよ」
「ふふっ…high thinkingの部分は‘自分の頭で考える’でいいと思う。好きな部分」
「うん、同じく」
「plainを質素って訳すのも合ってるけどこの‘Plain living and high thinking.’の場合はplainを‘明白な、わかりやすい’と私は向こうにいる間は思っていたから」
「日本訳に違和感があるんだね?」
「そう」
「二人とも好きな、high thinkingは一緒にやっていこうよ」
「まずは…どのカフェに行くか考える?ふふっ」
「大事なことだ。中じゃなく、海の見えるテラス席は絶対だろ?」
「うんっ」

龍に解放された頭を大きく縦に振ると、まだ重なるような位置にあった彼の顔に頭づきしてしまった。
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