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chapter※06※※※※※※※※※

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厚い…違う、暑い…これも違う、熱い…うん、この熱いだよ。最近までよく間違えた漢字だよ…頬が熱い…

「ひかれる…惹かれる?多分…attracted…」
「ははっ、呪文のようだね。手伝おうか?」
「attracted?」
「そう。今日、一日一緒にいたら好きになる予感がする」

これは告白?いやいや、予告か…

「えっと…龍?」
「うん、美鳥?」
「…好き予告には…ごめんなさい、答え方を知らない」
「俺も知らない」
「え?」
「そんな予告、したこともされたこともないからね」
「…今、したよね?」
「初」
「初予告?」
「そう。だから…そうだな…私も好きになるって答えればいいんじゃない?」
「…私も…好きになる?龍を?」
「いいね、美鳥。俺が言わせたのをわかっているけど嬉しいって、どういうことだろうな」

龍はチラッと私を見てから微笑むと、すぐに前を向き

「もうすぐだよ」

と右折のためにウインカーを出した。



◆◆◆◆




「ああ」

車から降りた美鳥は、それだけ言い周りを大きく見渡したあと木々を見上げて両腕を天へと伸ばした。

「ぅーーーーん、気持ちいい」

俺は営業に出たりブドウ園に入ることもあるが、美鳥はホテル内で仕事をしているからな。

「外、あんまり出ないか?」
「うん。こっちに帰って来てから出なくなって…もっとこういうところが近いといいんだけどね。緑があって毎日歩けるようなところ。コートいる?」
「中はいらないけど、あのトラックの珈琲を外で飲むから着て行こう」
「ああいうのも好き。まだ何もしてないけど、ただ到着しただけで楽しい」

二人でギャラリー前のトラックまで行くと

「お久しぶりです、柏木さん」

と、オーナーの秋元さんが迎えてくれる。

「今日はプライベートで?」
「はい。半分イギリス人の蜷川美鳥…」
「龍、嘘言わないで…日本人だよ。日本人の蜷川美鳥です」
「ははっ、ギャラリーの秋元です。何でそんな冗談になるの?」
「彼女の人生のちょうど半分ずつ、日本とイギリス生活だから」
「なるほどね…で、今日ここに来てくれたんだ」
「美鳥、先に中見る?珈琲?」
「先に見たいな。チケットはここですか?」
「珈琲と一緒に頂きます。ごゆっくり」
「はい、いってきます」

そう言った彼女は

「龍、ありがとう。本当に楽しみ」

と歩きながら俺に笑顔を向ける。

いつもより目線が下の彼女のそのまぶしい笑顔に俺は釘付けになった。

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