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chapter※05※

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柏木専務…龍が予約してくれた店は個室でワインペアリングが楽しめるイタリアンレストランだった。

「ここではペアリングされるワインもイタリアのものということですか?」
「そうだね、イタリアの北から南まで…美鳥が好きなシチリアのものもあるかもね。お父様と一度行ったペアリングはどんな料理だった?」
「フレンチでしたけど、お箸も置いてある創作フレンチという感じのお店でした」
「そう。ここ数年でペアリングのできる店は増えているんだよ」
「いつもアンテナ張っておられるんですか?」
「そうだね、俺がっていうか従業員皆だろうね。どこにどんな店が出来たって情報をもらうことが多いよ」

はじまりの一口は、トスカーナ風ひよこ豆のスープだった。
ラルドと海老をあわせたクラッシックな組み合わせだという。

「ラルドは豚の脂肪をさすイタリア語で合ってますか?」
「左様でございます。ワインは白ワイン用のブドウを使った、綺麗な酸味と青りんごや白桃、レモングラスのような緑のハーブの爽やかな香りが特徴のこちらをご用意致しました」

ワインを注いだソムリエが退室する前に私はもうグラスを持ち上げていた。

「楽しみすぎて…トスカーナはフィレンツェ…ふふっ、もう美味しい」
「それは急いで食べないといけないね。Salute」
「Salute!!」

彼がSaluteと乾杯したのは日本人らしい心配りかな。
Cincin(チンチン)という乾杯にあたる言葉を私は何とも思わないけれども。

「いただきます」
「それも言うんだ」
「そうですね…イギリスに行く前からずっと私についていてくれた方…あっ、西田はわかりますか?」
「もちろん覚えてる」
「西田さんの奥さんの冴子さんがずっとイギリスから帰るまで一緒だったんですけど、いただきますとごちそうさまは忘れるとやり直しさせられました」
「外国語にない言葉だからね」
「そうなんです…ん、美味」
「ははっ…びみ?」
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