手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ

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chapter※03※※※

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2杯目のスパークリングの泡を眺めて僅かに頬を緩めた美鳥さんは、とても真っ直ぐ真面目な女性だと思う。

わからないことは西田さんにもすぐに確認していたし、今も俺に聞いてきた。
わからないことや知らないことを恥ずかしいと思うのではなく貪欲に学ぶ姿勢はとても好ましい。

その真っ直ぐさをほぐすかのように今日も彼女の長い髪は綺麗に編み下ろされ、そこへ飾りをつけると姪がお気に入りのラ〇ンツェルだと思った時

「柏木専務」

先ほど紹介された川崎さんに呼ばれた。

「はい」
「まだ何も始まってはいませんが、もし何かオークワイナリーさんと企画を打ち出すとなればどなたにご連絡を差し上げればよろしいですか?」
「企画にもよりますが、まず私にご連絡頂ければ間違いない担当者に繋ぐ、もしくは私がそのまま担当させて頂きます」
「そうですか」
「何かお考えですか?宴会部門にいらっしゃるんですよね?」
「今の所属はそうですが…私、20年間あちこちのNinagawaで何でもやってきたんで…ふふっ、まだ何も言えないですけど」
「素晴らしい経歴をお持ちですね。そのリストを見せていただいても?」
「辛口採点かもしれませんよ?私の偏った好みかもしれないし」
「ええ、結構です」

彼女の採点を見ると

「若いものがお好きなようですね」
「あらっ?これで男性の好みがバレるんですか?」

少し大きくなった川崎さんの声に思わず声をあげて笑うと、美鳥さんと遠藤支配人がやって来た。

「なんて話をしているの、川崎さん」

遠藤支配人が愉しそうに聞き、美鳥さんも同じようにニコニコと川崎さんと俺を見比べる。

「若いワインがお好みですねと言ったのであって、男性の好みは分かりません」
「そういうことですか、ふふっ…大当たりと思ってしまいました」

首を竦めた川崎さんがまた次のワインへと向かい、遠藤支配人も一緒に話ながらついていく。

「川崎さん、チャーミングだわ」

そう呟きグラスを傾けた美鳥さんが

「おいし…今のところこれがfirst placeです」

と俺にグラスを見せる。

「ロゼのスパークリングですね。日本では少ないと思います。どこがお好きですか?」
「甘くないドライなロゼが好きなんです。どんな場面、どんなお料理とも合う気がするので。オークワイナリーさんのスパークリングはどれも細かい泡が綺麗に表面まで立って…それと合わさって素晴らしいと思います」
「ありがとうございます」
「残念ながら、全部は回れないですね」

時計を見た彼女は

「プロにアテンドをお願いしてもよろしいでしょうか?」

と、今日二度目のいたずらっ子の笑顔を見せて俺を見上げる。

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