5 / 203
chapter※01※※※
しおりを挟む
朱鷺はイギリスの大学卒業後、イギリスと日本の二重生活をしながら仕事をしていた。
その彼には西田さんが常に付きサポートをする。
そしてまだイギリスで学生生活を送っていた私は、もう十分に一人で生活できるくらいにイギリスに馴染んでいたが、朱鷺は私の一人暮らしを絶対に許さなかった。
そのため、冴子さんがイギリスで私と暮らしてくれたので彼女には感謝しかない。
西田夫妻をはじめ、朱鷺、旦那様には本当に感謝している。
幼い時に一人ぼっちになった私が何不自由なく生活できただけでなく、十分な勉強をさせてもらい、海外生活までさせていただくという、誰もが出来ることではない経験をさせて頂いた。
帰国してからの私は、蜷川の屋敷には戻らずマンションで生活している。
蜷川の使用人さんたちに‘お嬢様’‘美鳥様’と言ってお世話していただくのは、私の本来の立場ではなく申し訳ないと思うから屋敷には戻らなかった。
朱鷺は屋敷と私のマンションで半分ずつといった生活をしている。
「西田、先に戻って。俺、今夜はマンション」
「かしこまりました。が、朱鷺様…」
「わかってる」
「わかってると言われても言わずにはいられません。くれぐれも行動にご注意を」
「ああ」
「美鳥様がお困りになる事態は避けないといけません」
「わかっている」
「最近、外でもお二人の距離が近いので気を付けて下さいませ」
「美鳥がさっさと結婚を承諾しないのが悪い」
「ふてくされても可愛くありませんよ、美鳥様なら可愛いですが…美鳥様のお心もよくお分かりでしょう?」
「もちろん。俺が美鳥のことでわからないことはない」
「でしたら、美鳥様が悪いなどと言わずに現状を安全に守る努力をして下さい」
執務室で朱鷺と西田さんのやり取りを聞きながら、私も気を付けなくちゃと思う。
蜷川を…朱鷺を守る行動と生き方をすると決意した通りに振る舞うべきよ、美鳥。
「ねぇ、朱鷺」
「うん?」
「ちょっと離れて…」
「いや」
「…トイレ」
「1時間も経たずに行くはずもない。仮病ならぬ、仮尿」
「気持ち悪い言葉を作らないで」
夕食後、ソファーに座る私のお腹に顔を埋めるように寝転んだ朱鷺は私のヒップに腕を回して離れない。
「いつになったら結婚はオーケーだ?」
「…無理だよ」
「美鳥の帰国した時に籍を入れればよかった」
「それも良くないよ。逆だと思うよ?帰国した時にこんな風に付き合っているのは解消す…ひゃっ…ん…」
すべきだったという言葉は言わせてもらえなかった。
体を起こした朱鷺に押し倒された瞬間、もう唇が塞がれている。
すでに5年以上、私と朱鷺は付き合っている。
朱鷺が日本とイギリスを行き来しながら蜷川の仕事をし、私は19歳の学生だったある日、朱鷺は私に好きだと言った。
愛してると言ったんだ。
私ももちろん朱鷺が好きなことは好きだ。
それ以上のことはわからなかったけど拒絶する理由はなかった。
だが、表向き兄妹の私たちが表だって付き合うわけにはいかない。
兄妹でもおかしく思われない程度に食事に出かけることはあるが、それ以外は部屋で一緒に時間を過ごして体を重ねる。
彼と一緒に働くようになってからNinagawa Queen's Hotelの大きさと、CEOである彼の重責、そして蜷川当主としての対外的な役目までを日々こなす朱鷺を間近で支えてきた。
その中で私は私なりにひとつの答えを導きだしたのだが、朱鷺にはそれが気に入らないのだ。
その彼には西田さんが常に付きサポートをする。
そしてまだイギリスで学生生活を送っていた私は、もう十分に一人で生活できるくらいにイギリスに馴染んでいたが、朱鷺は私の一人暮らしを絶対に許さなかった。
そのため、冴子さんがイギリスで私と暮らしてくれたので彼女には感謝しかない。
西田夫妻をはじめ、朱鷺、旦那様には本当に感謝している。
幼い時に一人ぼっちになった私が何不自由なく生活できただけでなく、十分な勉強をさせてもらい、海外生活までさせていただくという、誰もが出来ることではない経験をさせて頂いた。
帰国してからの私は、蜷川の屋敷には戻らずマンションで生活している。
蜷川の使用人さんたちに‘お嬢様’‘美鳥様’と言ってお世話していただくのは、私の本来の立場ではなく申し訳ないと思うから屋敷には戻らなかった。
朱鷺は屋敷と私のマンションで半分ずつといった生活をしている。
「西田、先に戻って。俺、今夜はマンション」
「かしこまりました。が、朱鷺様…」
「わかってる」
「わかってると言われても言わずにはいられません。くれぐれも行動にご注意を」
「ああ」
「美鳥様がお困りになる事態は避けないといけません」
「わかっている」
「最近、外でもお二人の距離が近いので気を付けて下さいませ」
「美鳥がさっさと結婚を承諾しないのが悪い」
「ふてくされても可愛くありませんよ、美鳥様なら可愛いですが…美鳥様のお心もよくお分かりでしょう?」
「もちろん。俺が美鳥のことでわからないことはない」
「でしたら、美鳥様が悪いなどと言わずに現状を安全に守る努力をして下さい」
執務室で朱鷺と西田さんのやり取りを聞きながら、私も気を付けなくちゃと思う。
蜷川を…朱鷺を守る行動と生き方をすると決意した通りに振る舞うべきよ、美鳥。
「ねぇ、朱鷺」
「うん?」
「ちょっと離れて…」
「いや」
「…トイレ」
「1時間も経たずに行くはずもない。仮病ならぬ、仮尿」
「気持ち悪い言葉を作らないで」
夕食後、ソファーに座る私のお腹に顔を埋めるように寝転んだ朱鷺は私のヒップに腕を回して離れない。
「いつになったら結婚はオーケーだ?」
「…無理だよ」
「美鳥の帰国した時に籍を入れればよかった」
「それも良くないよ。逆だと思うよ?帰国した時にこんな風に付き合っているのは解消す…ひゃっ…ん…」
すべきだったという言葉は言わせてもらえなかった。
体を起こした朱鷺に押し倒された瞬間、もう唇が塞がれている。
すでに5年以上、私と朱鷺は付き合っている。
朱鷺が日本とイギリスを行き来しながら蜷川の仕事をし、私は19歳の学生だったある日、朱鷺は私に好きだと言った。
愛してると言ったんだ。
私ももちろん朱鷺が好きなことは好きだ。
それ以上のことはわからなかったけど拒絶する理由はなかった。
だが、表向き兄妹の私たちが表だって付き合うわけにはいかない。
兄妹でもおかしく思われない程度に食事に出かけることはあるが、それ以外は部屋で一緒に時間を過ごして体を重ねる。
彼と一緒に働くようになってからNinagawa Queen's Hotelの大きさと、CEOである彼の重責、そして蜷川当主としての対外的な役目までを日々こなす朱鷺を間近で支えてきた。
その中で私は私なりにひとつの答えを導きだしたのだが、朱鷺にはそれが気に入らないのだ。
63
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
アラフォー×バツ1×IT社長と週末婚
日下奈緒
恋愛
仕事の契約を打ち切られ、年末をあと1か月残して就職活動に入ったつむぎ。ある日街で車に轢かれそうになるところを助けて貰ったのだが、突然週末婚を持ち出され……
【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました
藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。
次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
イケメン御曹司、地味子へのストーカー始めました 〜マイナス余命1日〜
和泉杏咲
恋愛
表紙イラストは「帳カオル」様に描いていただきました……!眼福です(´ω`)
https://twitter.com/tobari_kaoru
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は間も無く死ぬ。だから、彼に別れを告げたいのだ。それなのに……
なぜ、私だけがこんな目に遭うのか。
なぜ、私だけにこんなに執着するのか。
私は間も無く死んでしまう。
どうか、私のことは忘れて……。
だから私は、あえて言うの。
バイバイって。
死を覚悟した少女と、彼女を一途(?)に追いかけた少年の追いかけっこの終わりの始まりのお話。
<登場人物>
矢部雪穂:ガリ勉してエリート中学校に入学した努力少女。小説家志望
悠木 清:雪穂のクラスメイト。金持ち&ギフテッドと呼ばれるほどの天才奇人イケメン御曹司
山田:清に仕えるスーパー執事
社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
桜井 響華
恋愛
派遣受付嬢をしている胡桃沢 和奏は、副社長専属秘書である相良 大貴に一目惚れをして勢い余って告白してしまうが、冷たくあしらわれる。諦めモードで日々過ごしていたが、チャンス到来───!?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる