結婚までの120日～結婚式が決まっているのに前途は見えない～【完結】

番外編：えいちゃんへの報復 by 千紘

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「うん、千紘くん」

　ポンと手を叩き立ち上がった丸ちゃんは、俺の隣に立ってフロアを見下ろす。

「ちょっと人を使うよ」
「それで同じ目に？ハニートラップ…女か？」
「女に親を付けるよ。結婚の話までするなら親も用意する」
「そんなの、怪しいだけじゃないのか？」
「逆だよ。怪しまれないためのリアリティーは必要でしょ？」
「費用は？」
「いらないよぉ」
「アイツから巻き上げるのか？」
「ううん、それはしない。顔見せて接触するんだから、直接巻き上げるようなことをして詐欺罪で訴えられたら面倒だからね」

　すらすらと語られる丸ちゃんの計画は、俺が考えつかない方法のようだ。

「今、簡単に調べたら婚約破棄の慰謝料の相場は50万から200万だっていうから結婚式場の予約金を支払うか、婚前旅行費用を出させるか、高額な物を買わせるか…相場くらいの金額で何らかの出費をさせて親子で消える。まあ、本物の親子ではないし、偽名だけど」
「丸ちゃん…費用もなしで誰がそんなことする？」
「僕、弱みを握って泳がせてあげてる人間が常に数人いるんだよ。絞り取らずに日常生活をさせてあげている人間がね」
「丸ちゃんに忠実な人間か…」
「任せてもらっていいよ。千紘くんは知らない顔でお姫様と結果待ちでオーケー」