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【本編裏側】俺の結婚相手/木戸瑛人
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穴井の電話に一瞬浮かれたのは事実だが、そのあと香歩の荷物を取りに来た並木さんと彫り物のある女性を見て、もう香歩には関わらない方がいいと思った。
会社でも何らかの噂で香歩が気分を害することがあったなら、並木さんとあの女性が制裁に来そうだ。もう会社で付き合う、付き合わないの話はまっぴらだ。
噂はどこか不確かなものでもあるから、今井さんと飲みに行ったことが後日問題にならないように、うやむやに出来ることを願って、香歩とはバレンタイン翌日に別れたことにしておく。
そうして静かに過ごしていたのに、今井さんが弁当を作って告白してきた。チョコはありがとうと受け取ったけれど、今は状況が異なる。俺は瞳をうるうるさせて俺を見つめる今井さんに、心を鬼にして断った。
そして気疲ればかりして帰った俺を部屋の前で待っていたのは美琴さんだった。
「おかえりなさい、瑛ちゃん」
「うん…どうかした?」
店は改装中で閉まっていると聞いていたのだが、どうしたのだろうか…
先ほどからポツポツと降っている雨が音を立て始め
「ちょっと、今後のこととか報告したくて来たの」
そう言う美琴さんの声が聞き取りづらい。
「入って」
「うん、玄関だけお邪魔します」
「散らかってるけど…」
「うん、すぐ帰るからここで」
上がるつもりはなさそうな彼女の話だけとりあえず聞くか。
会社でも何らかの噂で香歩が気分を害することがあったなら、並木さんとあの女性が制裁に来そうだ。もう会社で付き合う、付き合わないの話はまっぴらだ。
噂はどこか不確かなものでもあるから、今井さんと飲みに行ったことが後日問題にならないように、うやむやに出来ることを願って、香歩とはバレンタイン翌日に別れたことにしておく。
そうして静かに過ごしていたのに、今井さんが弁当を作って告白してきた。チョコはありがとうと受け取ったけれど、今は状況が異なる。俺は瞳をうるうるさせて俺を見つめる今井さんに、心を鬼にして断った。
そして気疲ればかりして帰った俺を部屋の前で待っていたのは美琴さんだった。
「おかえりなさい、瑛ちゃん」
「うん…どうかした?」
店は改装中で閉まっていると聞いていたのだが、どうしたのだろうか…
先ほどからポツポツと降っている雨が音を立て始め
「ちょっと、今後のこととか報告したくて来たの」
そう言う美琴さんの声が聞き取りづらい。
「入って」
「うん、玄関だけお邪魔します」
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