結婚までの120日~結婚式が決まっているのに前途は見えない~【完結】

まぁ

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満ち足りる

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「千紘くんの家の味って何?」

 パパが続けて言うと

「オムソバ」

 とすぐに返事がある。

「この年になって、考えて答えるとおでんとか味噌汁とか和食が出てくるけど、子どもの頃のご馳走だったからオムソバが家の味というか思い出の味かな」
「子どもの頃のご馳走か…いいな」
「翠さんもあるでしょ?普段は焼きそばなのに、運動会で頑張った日とか誕生日に卵を巻いたり乗せたり、すげぇご馳走になるんだ。今から思えば、運動会を見に来て自分も疲れた母さんの手抜きじゃないかと思うんだけどね…焼きそばは簡単でしょ?」
「それでも‘疲れたから焼きそばね’って言わずに、一手間掛けてくれるのが親の愛情だ。千紘はそうして育ててもらったってこと」
「そうだね。よし、俺、今日は帰る。香歩、淋しいだろうけど泣くなよ?朱に遊んでもらえ」

 私の頭をグリグリと撫でる千紘は

「母さんにも花買って、顔見て来るわ」

 と私たちに手をひらひらと振りながら帰って行った。

「あの人…実は勝手に上がってたんだよな…」
「そうだね、朱……」
「香歩と約束してるのかと思ってた」
「ううん、今日はしてない」
「ふっ…それなのに‘泣くなよ?’って帰って行ったな」

 私と朱がそう話していると、パパとお父さんが順に言った。

「朱が帰って来たから自分は顔だけ見て、あとは家族水入らずっていう心配りだろうね」
「だな。で…自分も親に顔見せに行く、と。思いやり深い…愛情深い男だな」
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