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適った人

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 瑛人は会社で同期に招待状を手渡していたようで、私のところにも来たのだ。

「皆に出してるから…欠席と返してくれてもかまわないから」

 そう短く言って戻って行く瑛人に‘おめでとう’と言う間もなくて良かったと思う私は大人げないかな…



「浦田、浦田」

 終業直後に私を手招きする穴井くんのところに行くと

「来た?」

 と囁き声で聞いてくる。

「うん」
「…大丈夫か?」
「うん。欠席で返信出すよ」
「だよな。中は見た?」
「ううん」
「これ…俺、開けた。見る?一人でこういうの見るのって嫌じゃないか?」
「じゃあ…ありがとう。見せてもらう」

 6月ではあるけれど、日時も場所も私たちが予定していたのとは全く違う。そりゃそうよね。キャンセルは早くしないと、キャンセル料が発生するもの。

 そして新婦‘大神尚子’という初めて見る名前を見ながら、やっぱりもうどうでもいいや…と思った。

「知ってる?」
「ううん、知らない人」
「おお、それ聞いてちょっとホッとした」
「心配してくれてありがとう。さすが、同期で一番に主任になっただけの気配りマンだね。ホヤホヤで忙しいでしょ?」
「それなりに」
「ほんと、ありがと。主任のお祝いは来週珈琲をご馳走するね」
「…自販機で?」
「そう…2本で、どう?」
「オーケー。じゃあ、戻るな」

 穴井くんと手を振って別れて、明日は会社が休みだから、今からパパたちの店に行こうと決めた。

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