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「…どうにかしてよと言われても…ですね…」

 私はつい先日まで…

「ごちゃごちゃ考えるのは禁止。俺のこと、好き?嫌い?」

 そう言われると…

「…嫌いではない」
「ってことは好きだね?二択だから」

 千紘は指先を絡ませて、指の側面や指と指の間を撫で、指一本ずつも撫で始めたのだが…やめて欲しい…

「…ゃめて…」
「うん?指?」

 彼の指使いはおかしい…以前、自分の手首の内側が性感帯だと感じたことがあったけれど、その時の感覚が脳裏に過って思い切り手を引っ込めた。

「トイレ…」

 そう言ってリビングを出てトイレに入ると、自分の手と手を強く握り合わせてゾワゾワとした感覚を消そうとする。びっくりした…丁寧に手を洗ってからゆっくりキッチンへ戻ると、彼は手にしたささみのパックを置いて私の方へ来ると同時に強く抱きしめた。

「嫌なことしたかな?ごめん…」
「………」
「やめて…も、ちゃんと言える香歩が好き。今日はそう伝えるだけにする。続き、作ろうか?」

 千紘は鶏のささみを一口大に切り分け、そのささみにしょう油を馴染ませるように加えた。さらにしょうが、にんにく、料理酒をささみに絡ませ冷蔵庫で少し寝かせる。あとはマヨネーズをかけてオーブンに入れて焼き、最後に好みに合わせて一味をかければ完成らしい。
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