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凍結から芽吹く

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「順序だてるほどは話していないけれど…まず俺は玄関にいて部屋には上がっていない。あの女性が洗面所からキッチンまでまとめる間にアイツに聞かないといけないこともあるからね、俺の出番は多くなかった」
「アイツに聞くとは?」
「香歩ちゃんの物かの確認。例えばボディーソープを持ち出すのかどうかの判断をするんだよ」
「なるほど…日常の消耗品まで全部ですか」
「当然だよ、朱くん。何に使われるか分からないからね、生理用品まできちっと持ち出せてるはず」
「あの女の人はそういう仕事の人ですか?」
「元ね。今は…そうだね…怖がらないで聞いてよ?特に香歩ちゃん?」
「私?はい…」
「あの女性は今は反社会的って言われるところのナンバー2の女だね」
「「そうなんだ」」
「あれっ?二人とも怖くない?」

 並木さんが私と朱に聞くので、朱と二人で顔を見合わせた。

「特に怖くないです。私たちに敵対することはないから」
「俺たち、この家に来る前は、近所にいたモロに組員って人にも世話になったことあるし。そういう人も普通に日常生活を送っていることは知っているんで」
「千紘、うちの子たちは俺たちが親なんだから、肩書きとか性別、出身に職業…全く気にならないぞ」
「それならいいね、続けるよ。あの女性は元々、フロント企業である不動産会社で、夜逃げあとの部屋を片付けたり、女性の部屋へ取り立てに行って、香歩ちゃんの持ってたようなコートを引き取ったりしてたみたいだね。今は会社に所属してないけど、何かあったら会社の人経由でああして動いてくれる。たぶん暇なんだよ、たまに夜に店へ出てはいるみたいだけど。で、アイツはあのお姉さんにびびってたよ」
「どうしてだろう…そういう風に名乗ったんですか?」
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