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罪と愛の行方

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「最終的に吉田さんは問題でないと思うよ、だと…冷却期間を設けることをどう思う?と自分から言い出して吉田さんに全部言わせて、瑛人くんにも‘うん’と言わせて…」
「自分は香歩とここまで来た…怖いお兄さんだね、千紘くんは…」
「その千紘が吉田さんは最終的に問題ないと言っているんだよな…千紘の言う最終的問題は社内の女の方だろうって」
「まあ、千紘くんも社内のことは把握しきれていないから憶測だけれど、吉田さんの方は当たっているんだろうね。知っている人なんだから」

 並木千紘の帰った店で、俺と翼は片付けをしながら話す。

「クソだな」
「瑛人くんことを特別好きでもなく女のいる男を誘惑したいタイプ…千紘くんの見解は当たっているんじゃないかな…香歩が最初店に行って違和感なかったから、また行っていると思うんだよね」
「結婚するって言ったとたんに、掻き回し始めたか…」
「でも良かったとも言えるでしょ。僕たちにも見えていなかった瑛人くんの本質が見えたんだからね」
「そうだな」
「僕たちはこれまでと変わらず見守るだけだね」
「ああ。愛情は惜しまず見守る」

 コツン…俺と翼は額と額を合わせてから店の外に出る。

 そして静かにドアを開けて帰った家のリビングのソファーでは、朱が寝ていた。

「…ん、話」
「今か?」
「ん」

 香歩には何も聞いていない朱に、千紘から聞いた話を全てすると

「ん、寝る」

 朱は何一つ感想も言わずにリビングを出て行った。
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