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家族のありよう

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「チョコ捨てて、私のチョコ食べて終了」
「「「………」」」
「3人で無視とか酷すぎる」
「「「………」」」
「……」

 3人の‘吐け’オーラに話すしかないと悟るが、先にザッハトルテを食べきろう。

「美味し…朱、チーズケーキ一口残ってるよ?」
「………」
「食べてあげようか?」

 絶対に口を開かない朱の前のチーズケーキにフォークを突き刺し食べてやる…

「ザッハトルテのデザートにチーズケーキ…ごちそうさまでした、お父さん」
「ん。明日も香歩の泊まりだからな、買っておこうか?」
「ううん。明日はお鍋にしてくれる?豆乳坦々鍋がいい」
「お、いいな。俺たちも豆乳坦々鍋は久しぶりだな、翼?」
「そうだね。香歩がバレンタインの金曜日からのことを、ちゃんと僕たちが満足できるように教えてくれたら、明日は豆乳坦々鍋にするよ。香歩、いい?安心させろって言ってるんじゃない。状況がわかれば満足するから、事実だけを言えばいい。安心させろって言ってるんじゃないから」

 パパにうんうんと頷くと

「会社でもらった物を捨てると、あれは誰の入れ知恵だ?」

 朱の私への尋問が始まった。

「そういう聞き方はしていないからはっきりとはわからない」
「予想は?」
「予想で瑛人を悪く思われるようなこと嫌だよ。だから言わない」
「香歩、翼も言っただろ?状況が分かればいいんだ。瑛人くんを評価するつもりはない。俺たちは香歩の心を理解したいだけだ」

 朱の後にお父さんがそう言うと、答えるしかない。
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