結婚までの120日~結婚式が決まっているのに前途は見えない~【完結】

まぁ

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方向を見失う

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 朱は厳しいんだってば…コートに袖を通しながら、廊下に出る直前に聞こえてくる声にため息が出そうになる。

「……全部捨てるということを今おっしゃる気持ちの変化は?」
「…気持ちの変化…?」
「はい。もしくは、対応策をどなたかに相談されましたか?」
「あ…」

 思わず瑛人に助け船を出すように

 ‘お待たせしてごめんなさ~い’

 と弾んだ声で言っちゃった。今の‘あ…’は誰かに相談したんだよね…それくらいは分かるよ。それでもね、私のモヤモヤを理解して、迎えに来てくれたならいいの。

「さむっ…」

 部屋から一歩出れば、2月の夜は冷え込んでいる。私と手を繋いだ瑛人は、彼のコートのポケットにその手を入れてくれた。

「寒いからタクシーで帰ろうか?」
「電車でいいよ。タクシーで来たの?」
「急いでいたからな」
「ご飯は?」
「美琴さんのところで鍋焼うどん」
「いいね。私も食べたい」
「来週行く?」
「うん」

 美琴さんに相談したのだろうか…それはそれで新たなモヤモヤが発生しそうで頭を左右に振る。

 ただの束縛ヤキモチはダメだよ、香歩。しっかりしなさい。




「すっごく自分勝手なことだと分かっているけど…それなら言うなって感じだけど…」
「ふっ、何?思ったことを言えないようなのはダメだよ、香歩」
「うん…食べ物を捨てる罪悪感はあるよね…手作りのこれにはないけれど…」

 私がゴミ箱の中の4つの箱のうち、手作りのラッピングのものを指差すと

「そうだけど、ここはきっぱりだよ。香歩のチョコだけもらう」

 瑛人は私の頭を撫でてから、今朝出勤前に私が渡したチョコの箱を開けた。
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