Kingの寵愛～一夜のお仕事だったのに…捕獲されたの？～ 【完結】

studio Saika SS 2

「タクか緒方先生経由で連絡取って、夏さんにモニターレッスン受けてもらおうかなって…お友達と一緒に」

私のプレゼントしたビアカップでビールを飲みながら、ローストビーフに手を伸ばす羅依に相談を開始した。

赤身肉を原材料にしているローストビーフは、他の部位に比べると圧倒的に脂肪分が少なく、それでいてたんぱく質は豊富。私も野菜と一緒にたっぷりと食べる。

「いいだろうが、ホテル勤務してるとレッスン時間が固定出来ないんじゃないか？」
「そうだよね。私はフリーでもあちらの都合がね」
「そこもタクに丸投げしろ。何とか形ある返事にしてくれるだろ」
「うん、分かった。明日タクにお願いする」
「今、一緒にいるんじゃないか？」
「お邪魔でしょ？」
「かまわない」
「えーっ…私は邪魔したと思われるのヤダ。するなら羅依がして」
「…俺が邪魔したと思われるのはいいのか？」
「ぇえーっ？かまわないって即答した人の言葉がそれ？」

また軽口を叩く私たちの耳に着信音が届く。

「羅依？」
「才花のだろ」

充電器に並べて置いてあるスマホを見ると

「お兄ちゃんだ」
「ん、出ろよ」
「うん…はい、お兄ちゃん？」
‘才花、もう飯終わってますか？少し話しても？’

兄からの電話だった。