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パトスへの光 14

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「…羅依、これも羅依?」
「いや、初耳」
「Scenic Gemにプラス?」
「確実にな」
「私のダンスが会社に貢献するの?」
「そうだ」
「植木さん、このお話お受けします。よろしくお願いします」
「ありがとうございます。来週早速いい?」
「…1週間もありませんけど?」
「今からホームページに告知出すから、心配しなくても客は集まるよ?」
「…鬼だ…」
「アハハ、そう言わずにすぐにチャチャッと考えて来てよ。音源の渡し方なんかは社長が知っているし30分の音を作って来て」

私はカフェでしか仕事をしたことがないから、鬼上司というのが本当に存在するのだと今夜初めて知った。




「羅依」
「うん?」

羅依と二人で役所からマンションへ帰る車内で、すっかり髭なしが定着した彼の横顔を見る。

「お兄ちゃんとScenic Gemに行くっていう日がこんな日になるなんて…羅依は分かっていたんだよね?私は分かってなかったな…今とても驚いてる」
「俺も分かってはいなかった。才花のプロポーズは完全に嬉しい想定外」
「そう?」
「小松さんに見せられるくらいまで踊るか…そうだな、そこは分かってなかった。でもヤンチャぶりが見られるくらいは想定内。小松さんにはきっと才花が踊る、とだけ伝えたら来てくれた」
「ヤンチャ、ヤンチャって…まあ、だから曲があったんだもんね」
「イギリスの…あそこまで才花が進んだから小松さんに婚姻届に記名をお願いした」
「プロポーズ、待ってた方が良かったかなぁ…振り返ると、とんでもないことしたよね、私…」
「プロポーズまで俺好みだ」
「このリングは私好み」

私は左手薬指の指輪を眺める。

幅広シルバーリングに神秘的な輝きを放つブラックダイヤモンドが埋め込まれたシックな印象の指輪は、シンプルだがその幅のために存在感がある。
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