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変容期の心持ち 5
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「仲間うちのお遊びですよ。サイサイ、お疲れさま」
「ありがとうございました。羅依、タク、ちょっとだけ待っててね」
「急がなくていい」
チュッ…羅依が私のこめかみにキスしている途中に、タクが
「才花ちゃん、ゆっくりでいいよ。このあとスーパーに行こうよ」
と言う。
「うん、分かった。いいよ」
「あれ?才花さんって3人で暮らしてるんですか?」
ショッキングピンクのハイウエストレギンスとブラトップトレーニングウェアを身につけた香さんが、羅依とタクを見ると
「そんなわけないでしょ?はい、ストレッチから始めて下さい、木村さん」
緒方先生が香さんにマットを指差した。そして
「木村さんって、サイサイと最後にいつ会ったんですか?」
と聞く。
「病院でですね」
「それって、いつ?ずいぶん前だよね?」
今度は私?
「事故直後なので、ずいぶん前ですね」
「それなのに、木村さんはサイサイのケガや体調を聞かないんだ…冷たい人ですね。ちょっとっ、ちゃんと息吐いて。ストレッチがいつまでもまともに出来なくてどうするのですか?」
先生がピリピリしていたけれど、大変だったのは私達が外に出た時だった。
ビルの2階から1階へ降りると、外のざわめきが聞こえる。夕方なので、いつもある程度の人通りがあるけれど何だか雰囲気が違う。
「何かあったか?」
「サイレンとかは聞こえてないよね?」
「才花、後ろ」
羅依がそう言い、タクと羅依が並んで歩き、私は二人の後ろに下がった。
「おおぉ、King」「久しぶりに見たぁ」「緑川さぁん」
「カッコいいっ」「香の書き込みマジだったんだ」
「パーソナルジムって書いてたよね?」「入会したいなぁ」
ビルの前に人だかりが出来ていたようで、たくさんの声が聞こえる。彼らは羅依とタクを見に来ているのだと、私も分かった時には二人がスーツの袖を触れ合わせるように立ったまま
「下がって」
私に小さく言う。よくわからないけれど、2、3歩下がると、彼らも下がり、自動ドアが閉まると同時に二人が私を抱えるようにして今来た通路を逆戻りした。
「ありがとうございました。羅依、タク、ちょっとだけ待っててね」
「急がなくていい」
チュッ…羅依が私のこめかみにキスしている途中に、タクが
「才花ちゃん、ゆっくりでいいよ。このあとスーパーに行こうよ」
と言う。
「うん、分かった。いいよ」
「あれ?才花さんって3人で暮らしてるんですか?」
ショッキングピンクのハイウエストレギンスとブラトップトレーニングウェアを身につけた香さんが、羅依とタクを見ると
「そんなわけないでしょ?はい、ストレッチから始めて下さい、木村さん」
緒方先生が香さんにマットを指差した。そして
「木村さんって、サイサイと最後にいつ会ったんですか?」
と聞く。
「病院でですね」
「それって、いつ?ずいぶん前だよね?」
今度は私?
「事故直後なので、ずいぶん前ですね」
「それなのに、木村さんはサイサイのケガや体調を聞かないんだ…冷たい人ですね。ちょっとっ、ちゃんと息吐いて。ストレッチがいつまでもまともに出来なくてどうするのですか?」
先生がピリピリしていたけれど、大変だったのは私達が外に出た時だった。
ビルの2階から1階へ降りると、外のざわめきが聞こえる。夕方なので、いつもある程度の人通りがあるけれど何だか雰囲気が違う。
「何かあったか?」
「サイレンとかは聞こえてないよね?」
「才花、後ろ」
羅依がそう言い、タクと羅依が並んで歩き、私は二人の後ろに下がった。
「おおぉ、King」「久しぶりに見たぁ」「緑川さぁん」
「カッコいいっ」「香の書き込みマジだったんだ」
「パーソナルジムって書いてたよね?」「入会したいなぁ」
ビルの前に人だかりが出来ていたようで、たくさんの声が聞こえる。彼らは羅依とタクを見に来ているのだと、私も分かった時には二人がスーツの袖を触れ合わせるように立ったまま
「下がって」
私に小さく言う。よくわからないけれど、2、3歩下がると、彼らも下がり、自動ドアが閉まると同時に二人が私を抱えるようにして今来た通路を逆戻りした。
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