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変容期の心持ち 2

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ジムはScenic Gemの近くのビルの2階にあるので、行きか帰りは羅依と一緒ということがほとんどだ。Scenic Gem近くに、事務所があるらしいが私はScenic Gemの場所しか分からない。

「サイサイ、来る度に上げて来てるね」
「上げて来てる?」
「そう。いい感じに、ガッツリ派手なウェアになってきてる」
「ああ…週3になってから、毎日スクールに通っていたイメージがどこかにあるので。昨日、久しぶりにネイルに行きました」
「めちゃくちゃ攻めてるよね。いい感じ」

これって攻めてるのか?ピンク、イエロー、ライトブルー、ライトグリーン、パープルのどれもがポップなカラーで可愛いんだけどな。マルチカラーネイルを眺めてから

「先生、今日もよろしくお願いします」

とお辞儀をした。

「右足を上げる時の方がバランスが悪いよね。自然に使えていた左を使わないようにしていたから」

人間の動きというのは、関係ない動きのように見えて他の部分も使っているのだ。

「全部の負荷を落として楽に動かすだけのところから、均等になるようにやり直すよ」
「はい」

後退のように思える内容だけれど、左膝も同じように動かしているところは前進だと考えてみる。

「オーケー。ラストいっかーい、はい。お疲れさま、サイサイ」
「フーッ…ありがとうございました」
「本当は、トレーニングの反復運動だけでなく、軽い運動をして知らず知らずに細かく筋肉を動かすととてもいいんだよね。子どものドッジボールや鬼ごっこみたいに、駆けて、急に止まって、急に方向転換してっていうような動きね」
「ドッジボールや鬼ごっこ…」
「あれって、子どもの骨や筋肉にとてもいいんだよ。サッカーとかもね。野球のように同じスイングを何百回もするのはオススメしないけど」
「ああ…すごく一定方向に同じ動きだ…」
「うん、それ。だからサイサイは今、筋肉と筋力をつけている真っ最中だから複雑な動きは大歓迎なんだよ?ダンスって…オススメしていいのか分からないけど…」
「大丈夫ですよ、先生。ダンスは…世界に手を伸ばしていて、突然…何て言えばいいかな…突然、諦めに手を伸ばさなくちゃならなかった感じですけど…」
「そうだね」
「あの大会、見てないんです。結果も」
「うん」
「そこを見なければ、ダンスが好きっていう気持ちが残っているので…オススメしてもらっても、ガーンとかいう気持ちにはならないから大丈夫」
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