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親密性の確立 2

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「才花。アパート出ろ。ずっとここにいろ」

羅依が後ろから私の肩口に顔を埋めて懇願するようでありながら命じる。

「羅依」
「ん?」
「そうしたら好都合だよね、私」
「そんな言い方しなくていい」
「でもそれが現実だよ。収入がないからアパートを出て、こんな快適な部屋に引っ越しするんだもの。羅依のことも多分好きだし…メリットしかないの、今は」
「最後に余計な言葉をつけんな」
「だって…もしケンカしても帰る家がないの。慎重にもなるよ」
「なんで才花がここを出る前提で話す?」
「だってここは羅依の部屋だもの」
「そうか。ここを才花のものにすれば、才花は出て行かないな?」
「はっ?」
「才花名義にすればいいだろ?任せろ。そういう売買は俺の得意分野だ」
「はぁ?羅依、頭大丈夫?」
「正常。明日どう動くかシミュレーション完了した」
「ちょっとっ…ストップ」

お腹の前にある羅依の手をパンパンと叩いてシミュレーションをストップさせる。いや、完了したって?

「そんなシミュレーションいらないから。家が欲しいって言ってないよ」
「そうか。じゃあ…愛だけでいいのか?」
「そうだね…それって……信じられるものなのかな?分からない…信じられるものって、あるのかな?」
「俺」
「そうだね…信じられるものならいいよね」

私がそう言うと、チュッ…耳にキスが落ちる。

「江川ミナミって…私と同じように頑張っていたはずなのに…」
「狂った奴と同じように考えんな」
「…お母さんはお父さんと一緒にいられないとわかっていたのかな?それとも、信じていたのにダメだったのかな…しーちゃんも離婚しているし、信じられるものってあるのかな?」
「俺」

羅依は私の顔を後ろに向かせると、深く口づける。


それは‘俺を信じろ’と伝えるようでもあり‘絶対に離さない’という毒を送り込むようでもある。

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