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迷路未解決 8

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「…そう言うけれど…女の人を呼んでるでしょ?」
「才花を呼んだ」
「どういう意味?それって…結果でしょ?」
「才花が登録したところ、俺の友人がやってる。クラブにたまってた頃からの悪友とも言える親友」
「そうなの?」
「何でも話せる奴」
「うん」
「だから才花を知ってた。才花は自覚がないかもしれないが、お前…自分が思っているよりも有名人だぞ?」
「そうなの?」
「俺がKingなんて言われているのは自分のテリトリーでの話だが、才花は名前が分かれば受賞歴や動画がめちゃくちゃ出てる」
「だからその人は、私が来たことを羅依に伝えたってこと?」
「そうだ」
「…延長料金だとか詳しいから、常連さんはよく知っているんだな…って思っていたんだけど…ぃたっ…」

ピシッとデコピンした羅依を下から睨んだけれど、彼は私を抱き上げた。

「女を呼んだことねぇよ。あんな金額、アイツも適当に‘うん、うん、もらっとけ’って言ったんだろ?才花がいくらか金が欲しくてやったことに違いないんだから。俺たちはあの夜の才花の決意を静かに受け止めた。俺の愛が流れ出るのを食い止めるのが大変だったが」

再び、チュッと唇を重ねた羅依は

「もう一度言う。前を向けなくても俺だけを見ていろ。それだけで大丈夫だ。ちゃんと才花の人生を歩んでいける。返事」
「はい…」

私の返事を引き出しあと、ペロッと私の唇をいたずらに舐める。

「タクは料理上手だぞ」

そう言った羅依に抱き上げられたまま部屋を出ると、いい匂いがしてきた。

「じゃーん。ささみの鍋にしたよ?高タンパクでヘルシーな鍋は才花ちゃんが好きかと思って」
「ささみの鍋って初めて」
「どうぞ、どうぞ。病院で食べてないんだから、ゆっくり噛んで腹八分でストップだよ?」

白菜、大根、人参、舞茸、小松菜、豆腐とささみが合わせだし醤油の鍋に仕上がっている。

ゆっくり豆腐から口にすると、軽く空腹を感じた。

「ささみ、ツルッとした食感が美味しい。どうしてツルッ?」
「削ぎ切りにして片栗粉をまぶしてから麺棒で薄くたたき伸ばしてる」
「片栗粉か。すごく丁寧に作ってもらってありがとう」
「うん。才花ちゃん、酒は?」
「飲まない」
「飲まない?飲めない?」
「欲しいと思ったことがない」

タクと私のあとに羅依が聞く。

「クラブで何飲んでた?」
「うーん…水かウーロン茶じゃないかな?覚えてないけど、他の物も欲しくないし」

目標があったから成り立っていたルールばかりかもしれない。

もう必要のないこだわりか…

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