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番外編:吉宗&力哉
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汗だくの吉宗と風呂に入ったあと食堂に行く。
「吉宗、頑張ったんだってね。手、痛めてない?」
お袋が聞きながら麦茶を渡すと
「ゆびおれないにぎりかた」
と言って4本の指の関節を第一関節から丁寧に折り畳んで親指で押さえて見せる。4本の指が平らにおさまり1ミリもズレない。
「いい拳だね。これは簡単にケガしないわ。でも吉宗」
お袋は吉宗の目線までしゃがむとしっかり目を合わせて伝えた。
「痛くなるときもあるだろうからね、その時は我慢しないで痛いって言うんだよ。誰でも上手に出来ないときはある。恥ずかしいことじゃないからね」
「ん、いう」
「じゃあご飯にしようね。冷麺でね、吉宗のは…はいこっちね。麺を短く切ったから食べられると思うよ」
「ありがとう」
そして俺が吉宗の隣で先に手を合わせて
「いただきます」
と言い吉宗をちらっと見ると、吉宗は正宗を思わせる冷たい視線を俺に向けた。
夜、綸ちゃんに電話し吉宗の1日を報告してから、明日の昼食後に送って行くと伝える。ずいぶん心配していたが今日の様子を聞いて安心したようだ。
「かわいい子には旅をさせろ、だよ」
‘そうだね。ありがとう、リッキー。吉宗の行けるところも少ないから、またよろしくお願いします’
「いつでもどうぞ」
‘頼りにしてます、リッキー’
‘力哉、こっちから迎えに行かなくていいのか?’
「いいよ、日曜の午後だし大丈夫。それにしても、吉宗に本格的に教え過ぎじゃないか?」
‘出来ないなら教えない。出来るから教えてる。まず自分の身を守ることを教え、それが出来れば大切な者を守ることを教える’
「綸ちゃんだね」
‘ふっ、とりあえずはそうだな’
「頼もしいね」
‘お前もな。吉宗を安心して預けられるというのはありがたい。頼もしい’
「嬉しいお言葉ありがとうございます。もう一度、綸ちゃんと話したいんだけど」
‘却下。明日頼んだ’
きれたよ…まあいいか…二人に頼りにされ、嬉しい気分で暗くなった画面を指で弾いた。
…この何年ものちに…吉宗が国府で暮らすことになるのは彼らも知らない、また別のお話……
「吉宗、頑張ったんだってね。手、痛めてない?」
お袋が聞きながら麦茶を渡すと
「ゆびおれないにぎりかた」
と言って4本の指の関節を第一関節から丁寧に折り畳んで親指で押さえて見せる。4本の指が平らにおさまり1ミリもズレない。
「いい拳だね。これは簡単にケガしないわ。でも吉宗」
お袋は吉宗の目線までしゃがむとしっかり目を合わせて伝えた。
「痛くなるときもあるだろうからね、その時は我慢しないで痛いって言うんだよ。誰でも上手に出来ないときはある。恥ずかしいことじゃないからね」
「ん、いう」
「じゃあご飯にしようね。冷麺でね、吉宗のは…はいこっちね。麺を短く切ったから食べられると思うよ」
「ありがとう」
そして俺が吉宗の隣で先に手を合わせて
「いただきます」
と言い吉宗をちらっと見ると、吉宗は正宗を思わせる冷たい視線を俺に向けた。
夜、綸ちゃんに電話し吉宗の1日を報告してから、明日の昼食後に送って行くと伝える。ずいぶん心配していたが今日の様子を聞いて安心したようだ。
「かわいい子には旅をさせろ、だよ」
‘そうだね。ありがとう、リッキー。吉宗の行けるところも少ないから、またよろしくお願いします’
「いつでもどうぞ」
‘頼りにしてます、リッキー’
‘力哉、こっちから迎えに行かなくていいのか?’
「いいよ、日曜の午後だし大丈夫。それにしても、吉宗に本格的に教え過ぎじゃないか?」
‘出来ないなら教えない。出来るから教えてる。まず自分の身を守ることを教え、それが出来れば大切な者を守ることを教える’
「綸ちゃんだね」
‘ふっ、とりあえずはそうだな’
「頼もしいね」
‘お前もな。吉宗を安心して預けられるというのはありがたい。頼もしい’
「嬉しいお言葉ありがとうございます。もう一度、綸ちゃんと話したいんだけど」
‘却下。明日頼んだ’
きれたよ…まあいいか…二人に頼りにされ、嬉しい気分で暗くなった画面を指で弾いた。
…この何年ものちに…吉宗が国府で暮らすことになるのは彼らも知らない、また別のお話……
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