さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

special thanks

14

　実際、畠山さんは超がつく過保護だった。私に仕事をさせない。私にだけオーガニック食材で別メニューを作るように京太さんに言う。先生より先に睡眠時間や体調を毎朝聞いてくる。

「正宗。畠山さんに言ってくれない？病人じゃないから普通にしていたいのに…畠山さんが言った普段通り過ごしてって何だったの？」

　夜、正宗の腕に包まれながら言うと

「つわりもほとんど無く元気に安定期に入った綸からすれば、畠山は過保護だろうな。普段通りと言ったのは万が一の話をしていたから、そんな心配しなくていいと言いたかったんだろ」

　私を寝かしつけるかのように優しく背中を撫で穏やかに話してくれる。

「でも綸がストレスを感じるのは本末転倒だよな」
　
　そう言った彼は、長い腕を伸ばしスマホを手にすると電話をかけるようだ。

「こんな時間に…誰？」

　私が言った時には相手が出たようだ。

「肉体労働ではないんだ。綸に今まで通り仕事回してくれ。ストレスが腹の子に障る」

　一方的にそれだけ言うと通話を終えた正宗に確かめた。

「畠山さん？」
「ああ、明日は普段通りになるぞ」
「ありがとう。早く寝なきゃね」
「ん、張り切りすぎるなよ」
「畠山さんだけじゃないのよ…私を見張る目は…」
「おかげで俺は安心して仕事に出られる」
「そうか…正宗の役に立ってるなら見張られるのも仕方ないね、ふふっ」
「ふっ、おやすみ。二人ともゆっくり眠れ」
「今日もありがとう、正宗。おやすみなさい」