【本編完結】さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【本編完結。後日談更新中】

7月SS 5

「暑いので、綸さんは部屋にいて下さい」

　伊東さんがいつもと違い、Tシャツにタオルを頭に巻いたスタイルで私に言う。まだ太陽の高い時間、汗を吸う白いTシャツが彼の背中の色柄を透かしていた。伊東さんもいつもの口調や態度から想像できない厳ついのを背負ってるのね…知らなかったわ。

「この準備からがバーベキューでしょ？」
「伊東、諦めろ。綸ちゃんの興味津々な目を見てみ。ここから動くわけないやろ。わしが気をつけておくし大丈夫や」

　今泉先生が私にネッククーラーを渡しながら言う。

「先生、ありがとう。あっ気持ちいいね、これ」
「そやろ？ほんでこれ飲んでな、スポーツドリンクを薄めてきたからごくごく飲んでええぞ」
「至れり尽くせりでありがとうございます。ふふっ」
「今日は綸ちゃんが主役やもんな」
「すごく嬉しい。バーベキュー初めてなんです」

　スポーツドリンクを口にした時…何かを運び込みながら、庭へサンダル履きと柄シャツ姿で入って来た小笹さんを見て閃いた。

「えっ…先生見て…小笹さんのヘンテコな柄シャツが初めて似合う絵面を見つけた気がする…炎天下か、バーベキューだ…」
「「「「「ぶはっ」」」」」

　聞いていた準備中の皆が吹き出し

「綸さん、笑わせないで下さい。落としてケガしそうだ」
「ヘンテコって」

　また小笹さんが凹んでいる。

「小笹さん、ここに似合うって言ったのよ。今日の活躍期待してまーす」