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side Masamune 16

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 翌日、綸が屋敷を歩けば皆が‘お年玉’を渡す。

 もちろん国府のような事はなく小さなポチ袋を準備した可愛らしものだ。綸は皆がくれるものだから

「どうしよう…今日は部屋に引きこもるべきだった?私…集金に歩いてるみたいだったの」

 大量のポチ袋と、数枚のむき出しの諭吉を前に2日の夜はどうしていいのかわからないという様子で聞いてきた。

 もらっておけばいいと言ったが綸は数日後からそれを遣い始めた。

 まず、近所の商店街のケーキ屋で30個のケーキと大量の焼き菓子を買い食堂に置いた。

 3日後は、同じく商店街の和菓子屋で30個の生菓子と大量の日持ちする菓子を買い食堂に置いた。

 ケーキや生菓子は残らない程度の数を買い、あとはここで食べても良し、自宅が別の者は自由に持ち帰りも良しとしたらしい。

 それが組員や組員の家族に好評だったらしく、綸はケーキ屋と和菓子屋へ週に1度ずつ通っている。曜日を決めて通うようになり、ケーキ屋も和菓子屋も喜んでいるらしい。

「綸の考えることは俺たちには思いつかない事だな」

 仕事の合間に親父が言うと、潤が続けた。

「本家の近所の商店でも皆‘綸ちゃん’と呼んでますよ」
「ふっ、綸が買い物すると皆おまけしてくれるらしいぞ」

 そこへ……コンコン…綸が皆の珈琲を運んできた。

「甘いものも良かったらどうぞ。これはね、おまけしてもらったの」
「「ぶわっはっ」」

 今ちょうど話していたところだったと潤と駿が吹き出し、綸だけがきょとんとしていた。
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