さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

高須綸 SS 8

　予定より早く旅館を出たので、11時頃に帰ると車中から正宗にメッセージを入れ目を閉じた。程好い音量のマサムネの歌声が心地良い。

　♪～～～♪

　高速道路の途中でスピードが落ちるのを感じ目を開けると、パーキングエリアに入るようだ。昼間は休憩無しだったけど夜だから休憩かな…私はいいや、このままで。

　停車してすぐ伊東さん小笹さんが降りたと思うと後部座席のドアが開く。私は用事無いんだけど…と目を開けた視界は瞬時に真っ暗になった。

「正宗…びっくりした」

　目を開けると同時に抱きしめられ顔は見ていないが正宗だ。彼の胸でスンと匂いを確かめるようにしたあと

「ただいま…迎えに来てくれたの？」
「ああ」
「嬉しい、ありがとう」

　彼は今日ももちろん仕事だった。でも来なくていいのになんて言わない。

　前は出来なかったけど今は素直に嬉しいと伝えられる。

「綸、頑張ったな」
「うん？頑張ったのかな…ふふっ」
「俺は小さい時から言われているが…ヤクザなんてと…面と向かって言われて耐えたんだろ？頑張ったじゃねぇか。ご褒美やる」

　彼は私の顎をぐっと上げ、優しく唇を重ねた。

「ちょっと…伊東さんたち…」
「来ない。10分人払いしてある。気にせず溶けろよ…あと8分しかない」

　そう言って正宗は私の唇を割ると、ねっとりと舌を私の口内に這わせ角度を変えては食む…ぅん…もっと…私は大きく口を開け彼の舌に舌を絡め引く。私たちは車がノックされるまで、どちらのものかわからない唾液を交換するような熱い口づけを交わした……