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最終話 9
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「正宗っ…私いま…正宗の足に寝てる?」
「ん、大丈夫な方だ」
「正宗っ…いま頭撫でてる?」
「ん、撫でてるな…他も撫でたいと思ってるぞ…ふっ……」
「…正宗だっ…生きてるね……」
「当然。俺を殺せるのは綸だけだ」
「…怖かった」
「悪い…」
「でも…約束だから待ってたの………ここで」
「それでいい、綸との約束は守る」
「…よかった…」
消えそうな声が震えたのは隠せない。涙も隠せない。
「綸、ゆっくり起き上がってくれるか?抱きしめたいが…抱き起こせねぇ」
そっと…手を着く場所も考えてゆっくりと起き上がる。
彼はベッドに凭れて両足を投げ出して座り、ケガしてない左足に私の頭を乗せていたんだ。
恐々彼の首に腕を巻き付け
「おかえりなさいっ、正宗」
「綸、ただいま」
体を預けるのが怖くて離れようとする私の顎をくっと持ち上げた彼は、唇を重ねるとすぐ舌で私の歯列をなぞる。上顎を隅々まで舐め上唇小帯、下唇小帯まで舐めると舌を絡め取り…ぅん…まさっ…舌を引こうとすると吸われ唾液が口角から零れ落ちそうになると…ジュルッ…彼は吸い取ったあと私の下唇を引っ張りながら離れた。
「早く治してよ…」
「当たり前、早く抱きたい」
ドンドン…ノックというよりはきつくドアを叩かれ顔を見合せる。
「チッ…タイムリミットだ」
彼は私の頭を軽く自分の肩口に引き寄せチュッと音を立てると
「ここに一緒にいたいが…血を流し過ぎたらしい。しばらくは泉先生んとこだ」
「うん、昨日寝ずに準備してくれて今朝いろいろ搬入してた」
ドンドン…ゆっくり立ち上がりると松葉杖が一本倒れているのが目に入る。この音が聞こえたのかと思いながらドアを開けると潤、駿、今泉先生、伊東さん、小笹さんがいて駿が松葉杖を一本持っている。
「ごめんなさい…私少し寝ていて…お待たせしました…よね?」
「それはいいんだよ、綸ちゃん」
「それよりあいつ病院で暴れて大変だったんだ」
潤に続けて駿は正宗のことを‘あいつ’と言うほどの事があったらしい。
「話はあとや。はよあっちのベッドに連れて行け」
今泉先生の言葉に私はすぐ正宗の元に戻り肩を貸し立ち上がらせる。ほぼこちらに体重を乗せるところをみるとケガの具合は悪いのだろう。
「綸ちゃん、入っていい?手伝…」
「来るな」
潤の言葉を低く遮った正宗は立ち上がってしまうと片足で立ち松葉杖を指差す。
「ん、大丈夫な方だ」
「正宗っ…いま頭撫でてる?」
「ん、撫でてるな…他も撫でたいと思ってるぞ…ふっ……」
「…正宗だっ…生きてるね……」
「当然。俺を殺せるのは綸だけだ」
「…怖かった」
「悪い…」
「でも…約束だから待ってたの………ここで」
「それでいい、綸との約束は守る」
「…よかった…」
消えそうな声が震えたのは隠せない。涙も隠せない。
「綸、ゆっくり起き上がってくれるか?抱きしめたいが…抱き起こせねぇ」
そっと…手を着く場所も考えてゆっくりと起き上がる。
彼はベッドに凭れて両足を投げ出して座り、ケガしてない左足に私の頭を乗せていたんだ。
恐々彼の首に腕を巻き付け
「おかえりなさいっ、正宗」
「綸、ただいま」
体を預けるのが怖くて離れようとする私の顎をくっと持ち上げた彼は、唇を重ねるとすぐ舌で私の歯列をなぞる。上顎を隅々まで舐め上唇小帯、下唇小帯まで舐めると舌を絡め取り…ぅん…まさっ…舌を引こうとすると吸われ唾液が口角から零れ落ちそうになると…ジュルッ…彼は吸い取ったあと私の下唇を引っ張りながら離れた。
「早く治してよ…」
「当たり前、早く抱きたい」
ドンドン…ノックというよりはきつくドアを叩かれ顔を見合せる。
「チッ…タイムリミットだ」
彼は私の頭を軽く自分の肩口に引き寄せチュッと音を立てると
「ここに一緒にいたいが…血を流し過ぎたらしい。しばらくは泉先生んとこだ」
「うん、昨日寝ずに準備してくれて今朝いろいろ搬入してた」
ドンドン…ゆっくり立ち上がりると松葉杖が一本倒れているのが目に入る。この音が聞こえたのかと思いながらドアを開けると潤、駿、今泉先生、伊東さん、小笹さんがいて駿が松葉杖を一本持っている。
「ごめんなさい…私少し寝ていて…お待たせしました…よね?」
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「話はあとや。はよあっちのベッドに連れて行け」
今泉先生の言葉に私はすぐ正宗の元に戻り肩を貸し立ち上がらせる。ほぼこちらに体重を乗せるところをみるとケガの具合は悪いのだろう。
「綸ちゃん、入っていい?手伝…」
「来るな」
潤の言葉を低く遮った正宗は立ち上がってしまうと片足で立ち松葉杖を指差す。
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