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第十三話 5
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「一品作ってもらうと助かる。毎日料理するの?」
「だいたい……はい。これは先週セツさんに教えてもらって簡単で美味しかったので、一昨日一人で作って成功しました」
「セツさん?」
「瀬口さんはご存知ですか?奥様なんですが…」
「あー瀬口さんは知ってる。怖いおっさんだ」
「瀬口さん…すごく優しいですよ」
「俺らの小さい時、一番怒られたのが瀬口さんだと思う」
「正宗は瀬口さんのこと大切にしてますね」
話をしながら作っている間に、京太さんのお父さんが買い物から帰って来た。
ほとんど近所の八百屋、肉屋、魚屋、豆腐屋、酒屋といった商店から配達してもらうそうだが、細々としたものの買い物が必要な時があると言いながら汗だくで台所へ入って来られる。
「良かったらシャワーしてきて下さい。私、お昼の手伝いもしますから」
「昼間からシャワーなんて贅沢…してくる」
そう言って出て行かれたのを見て京太さんと笑いながら、少しは役に立てたかなと思った。
昼食後、正宗に教えてもらった店へ行く。大きな路面店で一瞬入るのを躊躇ったが、伊東さんに
「大丈夫ですよ、入りましょう」
と促され小笹さんと3人で店に入る。高い天井の広い店内に圧倒されそうになった時
「高須様」
柔らかい男性の声が掛かる。私…?戸惑う私に佇まいの美しい男性が恭しくお辞儀をしたあと名刺を差し出してくれた。ブランド名と‘スーパーバイザー(エリアマネージャー)片桐保’と書かれた名刺に疑問を感じる。百貨店でアパレルブランドで勤務した事が複数回あるので、この肩書きが店長や販売員でないことを不思議に思ったのだ。名刺を受け取り
「駒村綸です」
「高須様のご婚約者様でいらっしゃいますね。ご来店誠にありがとうございます。畠山様より本日ご来店の旨、ご連絡頂きましたので私、片桐がこちらに参った次第です」
「畠山様…潤か駿ですね…」
「はい。私、昨年までこの店舗におりまして高須様、畠山様の担当をさせて頂いておりました。有難いことに部署が変わったあとも御指名頂いております。本日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「どうぞご自由にご覧下さい」
一通り店内を見せて頂くとスーツ、シャツはもちろんカジュアルなラインのものまで揃っている。小物類も豊富で、もちろん靴やバッグまで綺麗に並んでいる。しかし、何を選べば良いか思い浮かばないので、プロに頼る事にしよう……
「だいたい……はい。これは先週セツさんに教えてもらって簡単で美味しかったので、一昨日一人で作って成功しました」
「セツさん?」
「瀬口さんはご存知ですか?奥様なんですが…」
「あー瀬口さんは知ってる。怖いおっさんだ」
「瀬口さん…すごく優しいですよ」
「俺らの小さい時、一番怒られたのが瀬口さんだと思う」
「正宗は瀬口さんのこと大切にしてますね」
話をしながら作っている間に、京太さんのお父さんが買い物から帰って来た。
ほとんど近所の八百屋、肉屋、魚屋、豆腐屋、酒屋といった商店から配達してもらうそうだが、細々としたものの買い物が必要な時があると言いながら汗だくで台所へ入って来られる。
「良かったらシャワーしてきて下さい。私、お昼の手伝いもしますから」
「昼間からシャワーなんて贅沢…してくる」
そう言って出て行かれたのを見て京太さんと笑いながら、少しは役に立てたかなと思った。
昼食後、正宗に教えてもらった店へ行く。大きな路面店で一瞬入るのを躊躇ったが、伊東さんに
「大丈夫ですよ、入りましょう」
と促され小笹さんと3人で店に入る。高い天井の広い店内に圧倒されそうになった時
「高須様」
柔らかい男性の声が掛かる。私…?戸惑う私に佇まいの美しい男性が恭しくお辞儀をしたあと名刺を差し出してくれた。ブランド名と‘スーパーバイザー(エリアマネージャー)片桐保’と書かれた名刺に疑問を感じる。百貨店でアパレルブランドで勤務した事が複数回あるので、この肩書きが店長や販売員でないことを不思議に思ったのだ。名刺を受け取り
「駒村綸です」
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「畠山様…潤か駿ですね…」
「はい。私、昨年までこの店舗におりまして高須様、畠山様の担当をさせて頂いておりました。有難いことに部署が変わったあとも御指名頂いております。本日はよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「どうぞご自由にご覧下さい」
一通り店内を見せて頂くとスーツ、シャツはもちろんカジュアルなラインのものまで揃っている。小物類も豊富で、もちろん靴やバッグまで綺麗に並んでいる。しかし、何を選べば良いか思い浮かばないので、プロに頼る事にしよう……
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