さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

side Masamune 10

　京太さんが戻ったあと、部屋の前に若いのを立たせ警戒する。

　仕事のメールチェックをし、簡単にシャツ等をバッグに詰めていると潤から電話だ。部屋から出るのを止めて電話してきたのか？いくつか仕事の連絡と出発時間の確認そして

「昨日アパートにも行ったし、綸ちゃんには入力の仕事は今日の分とまとめてでいいって伝えてたんだけど、夕方以降一気にやったみたいだ。一応報告しておく」

　マンションの上か下のリビング、綸の部屋…どこでパソコンに向かっていたんだろうか…綸の気持ちを考えていると‘若、組長がお呼びです’と部屋の前から声が掛かる。

　すぐに親父の部屋へ行くと

「お前、綸にきちんと説明や連絡してないのか？ここへの泊まりも出張も…自分のマンションに囲っておくだけの都合のいい女にするつもりなのか？他の組に通達出さなくて良かった。とにかく俺は綸が可愛いからな、寂しい思いをさせたくない。綸はしばらく国府に泊まらせる」
「どういう意味だ？」

　力哉からの電話の内容を親父から聞く。俺にも電話したと聞き確認すると、仕事の方に着信があったようだ。

「正宗、これ以上絶対に綸を傷つけるなよ。国府なら安心だ。きっちり仕事してから迎えに行け」

　部屋へ戻りながら自分の数々の失態に項垂れそうになる。

　国府なら安心だって？力哉が綸の瞳の色に惹かれていたのは明らかだ。安心なんかじゃねぇ。