さまよう綸◆◆若頭からの求愛…迷惑だわ◆◆ 【完結】

side Masamune 6

　一人を目配せで呼び寄せ

　‘潤と駿が必要としている、頼む’

　と小さく伝えると佇まいを正し水を一気に飲んで出て行く。それを見て組員が表情を引き締めたのを見て彼らにも仕事だと視線を送ると、更に引き締まった。

　さすが高須だ。

「正宗～飲んで～美味しいよ」
「ああ、頂く」

　一口飲んでから聞いてみる。

「で、お前は何で今日ここに来た？」

　これで俺の聞きたい事、やるべき事は組員に伝わったはずだ。

「え～パパのお迎えのつもりだったんだよ～」
「そうっすか。この酒は？」

　騙されていた組員が俺の意図を汲み取り、うまく話をさせる。

「高須本家に手ぶらでは来ないでしょう？うふふっ」
「そうっすね、天下の高須ですからね。あっ、フウカさんグラス空きました？どうぞ」
「ありがとう」
　
　しばらくして潤たちのところから戻った組員は、勤務明けに申し訳ないと思うにほどの戦闘モードで戻ったので、焦るなと座る前に伝える。フウカの過去の行動と今夜の泊まりの本意を聞き使命感に燃えているのだろう。

　いい組員だが女狐に直球は通じない。

「フウカさん、俺ももう一度頂きます」
「は～い、どうぞ」
「うまいですね。アメリカからってすごいですね、酒もつまみも。帰国後の予定は決まってるんですか？」
「うふふっ、何で私がここにいると思う？」
「さあ…俺には難しい質問です。すみません」