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第九話 17

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「動くな」
「「ヒッ…」」

 オーナーの低い声とリンカさんたちが息を飲んだ音がする。冷やそうとしたのかな…ちょっと寒くなってきたよ。首筋をこんなに冷やして体温がすごく下がったと思う。

「少し失礼します。マコちゃんの髪を上げてしまいましょう。お薬も塗らないといけませんから」

 ママが私の髪をゴムでまとめてくれたようだ。髪から手を離した正宗は相変わらず不機嫌な声を私の耳元で出す。

「潤、毛布」
「…ありがと、寒い」
「ん、早く言えよ」

 そう言いながら彼は自分の上着を脱ぎ私に掛けてくれる。一旦氷を離した医者が申し訳なさそうに聞いてくる。

「もう少しだけ我慢して頂けますか?」
「…はい、お願いします」

 任せるしかない…そのままもうしばらく我慢してから薬を塗った上にガーゼを当てられ治療終了となった。正宗は私を向かい合わせて座らせたまま

「さて」

 と声を出すから慌てて顔を上げて彼に言う。

「一人で座るよ」

 すると正宗は私を片膝に乗せ、放すつもりはないらしい。

 正宗と私が座るソファーの左右のソファーにはリンカさんとレイナさんが湯を掛けられた位置のまま一人ずつ座っており、その後ろにオーナーの側近と思われた男性がそれぞれ立っている。ん?一人はさっきの医者かと思うが先ほどはっきりと顔を見ていないのでわからない。

 私たちのすぐ横、左手にオーナー右手にママが立っている。

「若、誠に申し訳ございません」

 オーナーが頭を下げ、ママと男性二人も同時に

「申し訳ございません」

 最敬礼して止まった。4人は何もしていないのに大変だなとは思うが、それが彼らのやり方なら仕方ない。上は正宗の上着、下は毛布で体温が上がり眠くなりそうだとぼんやり考える。

「で?」
「はい、こちらで処分致します」
「頭上げろ、全員だ」
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